ボトックスによるエラ治療を行った方で「歯ぎしり」や「歯のくいしばり」が改善したという方がいらっしゃいます。
また、逆にそれらの症状を緩和するためにエラのボトックス治療を受けられる方がいます。
歯ぎしりやくいしばりは歯科領域では睡眠時ブラキシズムと呼ばれます。
日中におこるものは覚醒時ブラキシズムと呼ばれます。
睡眠時ブラキシズムは、微少覚醒と呼ばれる、浅い眠りの状態が原因のひとつとして指摘されています。
その他、疾患や薬剤が原因となるものもあります。
治療法
1.短期的な治療効果があるものとして、マウスピースがあります。
これは保険がききます。
2.ボトックスは根本治療ではありませんが、歯ぎしりやくいしばりの症状を緩和させる効果があります。
ただし、保険適応ではないことと、以下のような副作用が報告されているので、注意が必要です。
・頚部への注射例で呼吸困難の出現例や死亡例の報告がある。
・1回に100単位を投与した際に、遠隔筋への影響(呼吸困難、筋無力症)の報告がある。
・神経系の障害、呼吸器系の障害、知覚麻痺、頭痛
・筋萎縮による顔貌の変形、非対称、口角下垂、咀嚼障害など
・反復投与により抗体ができることで徐々に効きづらくなる。
・嚥下障害、疼痛、一過性の疼き
・咀嚼筋への注射で顎関節の骨密度低下の恐れがある報告がある。
3.ボトックスが無効な重症例では、咬筋付着部をはがす手術(筋突起切離術)が必要になることもあります。
参考文献:日本抗加齢医学会雑誌.13(3).2017.78-88