ハイドロキノンは、皮膚科で処方されることもあれば、化粧品として購入することもできます。
ハイドロキノンを使えば白くてきれいな肌になれると思っていたのに、なかなか効果を実感できない方も多いかもしれません。
もしかしたら、ハイドロキノン単独では効果を期待できないシミかもしれません。
今回は、ハイドロキノンの効果や有効率、効果を期待できるシミの種類などについてわかりやすくまとめます。
ハイドロキノンの美白効果・シミに効くメカニズム
日焼けをすると、紫外線の刺激によってシミ・くすみの元になるメラニンが作られます。
ハイドロキノンはメラニンが作られることを防ぐので、シミに効くといわれています
具体的に、ハイドロキノンがシミに効くメカニズムを3つのステップで説明します。
メラニンの合成を止める
メラニンを作るためには、チロシナーゼとよばれる酵素が必要です。
ハイドロキノンは、チロシナーゼのはたらきを抑えることができるので、メラニンの産生が低下します。
メラノソームを分解する
シミの元になるメラニンは、皮膚の中でメラノソームとよばれる小さな袋の中に入っています。
メラノソームは、皮膚の表面にある細胞に受け渡され、シミを作ります。
ハイドロキノンには、メラノソームを分解する効果があるといわれています。
メラニンを作る細胞を減らす
メラニンは、皮膚の色素細胞で作られます。
ハイドロキノンは、色素細胞のもとになるものを抑えるはたらきがあると考えられています。
ハイドロキノンによってメラニンを作り出す色素細胞が破壊されるので、シミの原因となる細胞が減ります。
ハイドロキノンの効果を期待できるシミ
ひとことでシミといっても、さまざまな種類があり、主に以下の種類があります。
ハイドロキノンの効果が出やすいものや出にくいものがあります。
ハイドロキノンの効果を期待できるシミには、肝斑、炎症後色素沈着、老人性色素斑(日光によるシミ)、そばかすなどがあります。
肝斑
肝斑は、頬やおでこ、あごなどに左右対称性にできるシミです。
女性に多く、紫外線や女性ホルモンと関連するといわれていますが、発症メカニズムは現在でも明らかになっていません。
肝斑に対してハイドロキノンで治療する場合には、2~4%のものを1日2回塗ります。
4%ハイドロキノンを使用すれば、約3か月で効果が見られます。
また、トレチノインを1日1回夜に塗るようにすると、より高い効果を期待できます。
炎症後色素沈着
ケガや摩擦、皮膚炎などの炎症の後にできるシミのことを炎症後色素沈着といいます。
半年くらいで自然に良くなることも多いですが、ハイドロキノンを使えば早く良くなります。
ただし、メラニンが皮膚の深い部分に入り込んでいるような炎症後色素沈着の場合には、1年以上経過しても良くならないことがあります。
そのような場合にはハイドロキノンだけでは症状が改善しないので、医師に相談するようにしましょう。
老人性色素斑(日光によるシミ)
紫外線によって皮膚にできるシミを老人性色素斑とよびます。
老人性という名前がついていますが、20歳代で発症することもあります。
一般的には、中高年以降にできることの多いシミで、日光がよくあたる顔に発生することが多いです。
シミの色は茶褐色から黒色で、大きさはさまざまです。
雀卵斑(そばかす)
そばかすは、小さい褐色のシミで、目の下や鼻にかけて発症することが多いです。
紫外線によって悪化する傾向があり、幼少期から思春期によく見られます。
注意|ハイドロキノンの効果を期待できないシミ
シミのなかで、ホクロやADM、脂漏性角化症は、ハイドロキノンの効果が出せないと考えられています。
ホクロ・ADM
ホクロやADMでは、皮膚の深いところに色素沈着している状態なので、ハイドロキノンだけでは効果を期待できません。
ADMは、頬や鼻、まぶたなどに対称性に発生することの多いシミで、大きさはそばかすより少し大きいくらいです。
色は紫褐色から黒褐色で、肝斑に似ているので区別がつきづらい場合があります。
脂漏性角化症(盛り上がったシミ)
盛り上がっているシミは、脂漏性角化症とよばれます。
ハイドロキノンが浸透しづらいシミと考えられているので、まず削皮やレーザー治療を検討します。
レーザー治療後の炎症後色素沈着を防ぐために、ハイドロキノンの併用がおすすめです。
ハイドロキノンの効果が出るまでの期間と有効率
ハイドロキノンの効果が出るまでの期間は、平均1~3か月といわれています。
ただし、1~3か月で効果を認めなかった場合でも、より長期間使うことで効果が出ることもあります。
ハイドロキノンを使った患者58例を対象にした研究(日本病院薬剤師会雑誌44(10):1495‐1498,2008)によると、効果の見られた患者のハイドロキノン使用期間は3か月以内が62.9%でした。
また、3か月以上の長期使用した場合にも効果が認められ、使用期間の最大は10か月だっということです。
気になる有効率は、この研究では51.9%だったそうです。
ハイドロキノンの効果が持続する期間
ハイドロキノンの治療をやめた後に、すぐに効果がなくなるわけではありません。
しかし、いずれの美白剤にもいえることですが、効果が出ても使い続けないといつかは元に戻ります。
また、ハイドロキノンの効果が持続する期間は、使用後に浴びる紫外線の量に影響を受けます。
つまり、ハイドロキノンの治療後に、紫外線を防ぐ努力をすることで、皮膚のよい状態を保てます。
ハイドロキノンの効果を最大限にする使い方
ポイントとしては、以下の6つがあります。
- 医師の診察を受ける(個人輸入のハイドロキノンクリームはあまりお勧めしない)
- 用法用量を守る(副作用を避ける)
- 保存方法に注意する
- 使用前に試し塗りやパッチテストを行う(いきなり全体に塗らない)
- トレチノイン(またはレーザー治療)を併用する
- 紫外線を避ける(美白効果が損なわれるのを避ける)
ハイドロキノンと他の美白剤との効果の比較
ハイドロキノンは美白剤としてよく知られており、高い効果も期待できます。
ハイドロキノン以外でも、トランサミンやアルブチン、コウジ酸、ビタミンCなど、美白剤には他にもさまざまな種類があります。
トランサミンは肝斑の治療で使われる飲み薬で、アルブチンはハイドロキノンを酸化しづらくした化学物質です。
コウジ酸やルシノールは、ハイドロキノンよりも効果は弱いものの、皮膚の赤みや炎症などの副作用が少ないといわれています。
ハイドロキノンと他の美白剤との効果、安全性の比較を表にすると以下のようになります。
他の美白剤と効果の違い
ハイドロキノンは、ざまざまな美白剤と比べても、一番効果が強いといえます。
例えば、ビタミンCと比べると約100倍の効果を期待できます。
20%アゼライン酸は、4%ハイドロキノンと同じくらいの効果を期待できます。
しかし、アゼライン酸を使うと、皮膚の赤みやかゆみ、刺激などの副作用が出る確率が比較的高いことがわかっています。
ハイドロキノンと他の美白剤を比較した表からもわかるように、効果と副作用とバランスを考えると、ハイドロキノンがおすすめです。
「皮膚科クリニックで出されたハイドロキノンクリームの効果が少なかった」そのわけは?
「美容皮膚科などでハイドロキノンを小さな容器に入れて処方されたけど、あまりシミには効果がなかった」
そういう声を時々いただきます。
その理由は、ハイドロキノン単独の使用では、古い皮膚の代謝が改善しない状態になっていると、シミ改善効果が出にくいためです。
古い皮膚が出て行って、新しい肌が白くなるというのがシミ改善の近道です。
皮膚の代謝を上げる方法として、トレチノインクリームがあります。
しかし、トレチノインは1か月で劣化することも多く、取り扱いづらいこともあり、ハイドロキノン単独で処方するクリニックも多いのが実情です。
まとめ
ハイドロキノンは、メラニンの生成を抑えるのでシミに効くと考えられていますが、効果を持続させるためには、紫外線をなるべく浴びないようにすることが重要です。
ハイドロキノンは、他の美白剤と比べて効果が高いのでおすすめですが、シミにもさまざまな種類があり、ハイドロキノンが効かないタイプのシミもあります。
また、ハイドロキノン単独よりも、トレチノインやレーザー治療などを併用した方が効果を期待できるシミもあります。
シミの診断や最適な治療法の選択のためには、医師の診察を受けた方が安心です。
ハイドロノンを上手に使って、シミやくすみのない、きれいで明るい肌を目指しましょう。