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アゼライン酸の効果・副作用について

アゼライン酸
 執筆者: 加治佐 卓也
医学博士・形成外科専門医

アゼライン酸は、小麦やライ麦などに含まれている天然由来の酸です。

アゼライン酸には、炎症を抑える作用やメラニンの生成を妨げる作用があるため、ニキビや酒さ、肝斑、色素沈着などに効果があるといわれています。

ここでは、アゼライン酸の効果や副作用などについて、わかりやすく解説いたします。

アゼライン酸とは?

アゼライン酸は、小麦や大麦、ライ麦などの穀物に含まれている天然由来の成分です。

炎症やメラニンの産生、皮脂の分泌を抑えたり、毛穴のつまりを改善する効果があります。

アメリカでは、酒さといわれる皮膚の症状に対して承認されており、ニキビや色素沈着などに対しても使用されています。

日本では、美容クリニックや皮膚科などの処方や市販薬でアゼライン酸が含まれる製品を手に入れることができます。

今までの医学的な研究によると、1520%のアゼライン酸の効果を見ているものが多く、酒さやニキビ、色素沈着などに対する改善効果が認められています。

市販の化粧品にもアゼライン酸が含まれていることがありますが、含有量が5%未満という場合もあります。

アゼライン酸の効果

皮膚のさまざまな症状に対するアゼライン酸の改善効果は、今までの医学的な研究で明らかになっています。

アゼライン酸の酒さに対する効果

酒さとは、中高年の方の顔に見られることの多い皮膚の症状で、赤みや小さな吹き出物ができます。

酒さという言葉は聞き慣れないかもしれませんが、赤ら顔と呼ばれることもあります。

酒さは、鼻や頬に症状が出ることが多く、皮膚の下にある血管が見える場合もあります。

酒さに対するアゼライン酸の効果を見た研究によると、15%のアゼライン酸を1日に2回、12週間にわたって塗布したところ、酒さの患者の32%において改善効果を認めたそうです。

アゼライン酸のニキビに対する効果

アゼライン酸には、炎症や皮脂の分泌を抑えたり、毛穴のつまりを改善する作用があるので、ニキビの治療に適しています。

ニキビの原因となるアクネ菌の増殖を抑えるはたらきも、アゼライン酸にはあるといわれています。

15%や20%のアゼライン酸を含む製品がニキビ治療に使用されることが多いですが、15%の方が皮膚のピリピリとした痛みや違和感などの副作用が少ないといわれています。

ヨーロッパのガイドラインでは、軽度から中等度のニキビの治療に対する選択肢として、アゼライン酸の単独での使用または他の治療薬との併用が認められています。

アゼライン酸のシミや色素沈着に対する効果

アゼライン酸には、メラニンの産生を抑えるはたらきがあるのでシミや色素沈着に対して、美白効果を期待できます。

肝斑や老人性色素斑などの患者20名に対し、20%のアゼライン酸を皮膚に12回塗布して経過を見た研究によると、14名において2週間から2か月の間に効果を認めました。

2名において皮膚のひりつき感や発赤などの副作用を認めたものの、使用中止により改善したとのことです。

アゼライン酸の他の症状に対する効果

アゼライン酸は、主に酒さやニキビ、色素沈着に対して効果があると認められています。

一方で、化膿性汗腺炎(かのうせいかんせんえん)、毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)、男性の薄毛、乾癬(かんせん)、口囲皮膚炎などに対して効果があったという報告もあります。

アゼライン酸の副作用

アゼライン酸は、天然由来の成分であり、今までの臨床研究の結果から副作用が少なく、安全性が高いと考えられています。

副作用としては、皮膚の赤み、熱感、ピリピリとした痛み、乾燥、かゆみなどが起きる場合があります。

ただし、皮膚の赤みや熱感、違和感などは様子を見ていると改善することが多いといわれています。

安全性が高いといわれているアゼライン酸ですが、もしアゼライン酸を使った後に皮膚や体調に異常を感じたら、使用を中止し、担当医に相談するようにしましょう。

まとめ

アゼライン酸は、天然由来の成分で、酒さやにきび、しみ・くすみ・ニキビに効果があるといわれています。

副作用としては、皮膚の赤みや熱感、ピリピリとした痛みなどが起きる可能性があるといわれていますが、経過を見ていると改善することも多いです。

アゼライン酸には、皮膚の炎症を抑えたり、メラニンの産生を妨げる作用があるので、さまざまな皮膚の症状に比較的安心して使えます。

きれいな肌を目指すための選択肢の1つとして、アゼライン酸の使用を検討してもよいかもしれません。

参考文献

西日本皮膚科 55(2), 319-322, 1993.

J Dermatolog Treat33(2):722-732,2022.