ここでは、接触皮膚炎の原因や症状、治療法などについて解説いたします。
接触皮膚炎は、以下の4つに分類されます。
- 刺激性接触皮膚炎
- アレルギー性接触皮膚炎
- 光接触皮膚炎(刺激性、アレルギー性)
- 全身性接触皮膚炎・接触皮膚炎症候群
刺激性接触皮膚炎
一時的なものです。
洗剤などの刺激物質や摩擦が原因です。
アレルギー性接触皮膚炎
特定のアレルゲン物質に触れることで赤みや発疹、水ぶくれなどの炎症反応がみられるⅣ型アレルギーです。
これらの炎症反応が少なく、色素沈着が目立つタイプのアレルギー性接触皮膚炎を色素沈着型接触皮膚炎と呼びます。
リール黒皮症も色素沈着型接触皮膚炎のうちに含まれます。
また、アレルギー性接触皮膚炎の発症には、感作相と惹起相の2相があります。
感作相は、アレルゲンが体内に取り込まれた時に起こる免疫反応のことをいいます。
惹起相は、アレルゲンが再び体内に取り込まれた時に起こる反応を指します。
原因
アレルギー性接触皮膚炎は、さまざまなものが原因となります。
そのため、アレルゲンとなる物質に触れた自覚がなく、原因物質の特定が難しい場合もあります。
症状も緩やかで経過が長期にわたる場合は、アレルギー性接触皮膚炎の特徴的な発疹がみられるとは限りません。
そのため、診断が困難な場合もあります。
色素沈着型接触皮膚炎におけるアレルゲンの代表的なものとしては、化粧品や寝具が挙げられます。
症状
アレルギー性接触皮膚炎は、特徴的な発疹の形や広がり方をします。
例えば、発疹が片側だけ、あるいは限られた部位だけに現れる場合は、アレルギー性接触皮膚炎を疑います。
円形や線状の形をした発疹がみられる場合もあります。
光アレルギー性接触皮膚炎は、紫外線を浴びた部位の中でも、化学物質に接触した部位に限局して発疹が出ることが特徴です。
症状は以下のようなものが挙げられます。
- 痒み
- 赤み(アレルゲンが付いた手で顔を触ると、顔の赤みの原因となります。)
- 発疹
- 水ぶくれ
- かさぶたなど
※これらの症状が長期間に及ぶと、色素沈着や、皮膚が固くゴワゴワとした状態になることがあります。
検査
パッチテスト
アレルゲン物質を48時間皮膚に貼り続けます。
48時間後に、痒みや赤み、発疹、水ぶくれなどの症状の有無を調べます。
パッチテストを行う時は、皮膚科の専門医へ相談をする必要があります。
直接鏡検
水虫やカンジダなどのカビの判別を行うには、皮膚の皮の一部を顕微鏡で調べる必要があります。
組織検査
腫瘍との判別が必要な場合に行います。
診断
アレルゲンとなる物質に接触後、24~48時間以内に発疹が生じます。
そのため、症状の経過日数や発症前のアレルゲンとの接触歴や行動(外用薬の使用や訪れた場所)を把握する必要があります。
症状の経過が、数か月あるいは数年にわたる場合は、日常的に使用している洗剤や化粧品、職場環境や趣味などについても把握する必要があります。
治療
ステロイドや抗アレルギー薬の内服を行います。
しかし、一番大切なことは、アレルゲンとなる物質を除去することです。
アレルゲンとなる物質は、様々なものに含まれています。
そのため、今まで使用していた原因となる化粧品などを別の製品に変えても、再び接触皮膚炎を引き起こす可能性もあります。
光接触皮膚炎
光接触皮膚炎は、紫外線を浴びることで発症します。
光接触皮膚炎には以下の2つのタイプがあります。
光毒性接触皮膚炎
原因となる化学物質に、紫外線が当たることで活性酸素が発生し組織・細胞傷害をもたらすことで発症します。
アレルギー反応が起こるわけではありません。
光アレルギー性接触皮膚炎
原因となる化学物質が紫外線に当たることで、アレルギー反応を起こします。
代表的な原因物質として、湿布薬のモーラステープなどが挙げられます。
湿布を貼ってから数週間経過しても、紫外線を浴びることで皮膚炎を引き起こします。
薬剤による接触皮膚炎
外用剤による接触皮膚炎は、局所にとどまらずに、広がることもあります。(接触皮膚炎症候群)
湿布以外にも、抗生剤や保湿剤でも起こることがあります。
参考文献
調剤と情報 26(6): 1098-1101, 2020.
臨牀と研究 96(7): 808-811, 2019.
今日の皮膚疾患治療指針 第5版. 医学書院. 2022.