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日光性色素斑について|特徴や治療法を解説

 執筆者: 加治佐 卓也
医学博士・形成外科専門医

日光性色素斑(老人性色素斑)は、中年以降に見られることの多いシミです。
日光が原因で顔や腕などにできます。

日光性色素斑は、きちんと診断して、適切な治療を行えば、きれいに治ることも多いです。

一方で、レーザーなどの治療により炎症後色素沈着を起こしてしまうこともあるので注意が必要です。

今回は、日光性色素斑のできるメカニズムや治療法、効果を高める方法などについてわかりやすく解説いたします。

日光性色素斑(老人性色素斑)の特徴について

日光性色素斑(老人性色素斑)は、いわゆるシミの多くを占めています。

名称について

日光性色素斑は、老人性色素斑、日光性黒子などと呼ばれることもあります。

また、非常に薄い状態のシミは、肌のくすみとしてとらえられることがあります。

できやすい部位は?

紫外線が原因ですので、紫外線のよく当たる顔や手の甲、腕などによく見られます。

顔の中では、特に頬や側頭部(コメカミ)に発生します。

できやすい人は?

男女ともに見られるシミです。
年齢的には、中年以降に発生することが多いです。

日光性色素斑の色や形の特徴は?

凹凸について

日光性色素斑は、通常は平らですが、盛り上がっているものもあります。

色は?

色は、淡い茶色か濃い褐色で、シミと周りの皮膚との境界がはっきりしていることが特徴です。

大きさは?

大きさや色調の違いで、小斑型、大斑型、白斑黒皮症型の3つに分けられます。

  • 小斑型・・・数㎜程度の大きさで、一様な褐色です。
  • 大斑型・・・大きめのシミで単独で現れるという特徴があります。単発で顔や腕に見られることが多いです。
  • 白斑黒皮症型・・・小斑型あるいは大斑型の色素斑に色素脱失斑(白斑)とよばれる白く抜けた部分を認め、色調はまだらです。手の甲や腕に多く発生します。

日光性色素斑はどのようにして発生する?

紫外線(日光)が原因と考えられています。

紫外線を浴びると、皮膚のメラノサイトと呼ばれる細胞からシミの原因となるメラニンが生成されます。

詳しくは、皮膚のメラノサイトという細胞が、メラニンを過剰に生成する状態に変化するか、皮膚の多くの部分を占めるケラチノサイトという細胞がメラノサイトを活性化する因子を常に生産するように変化することによって発生するのではないかと考えられています。

皮膚は、ターンオーバーと言い、定期的に古い細胞が新しい細胞に生まれ変わっています。
その中で、外に排出されなかったメラニンが溜まってしまうとシミになります。

つまり、古い皮膚が捨てられずにたまることで、そのメラニンがシミとなるのです。

他のシミとの見分け方は?

 

シミの種類

よくあるのが、日光色素斑と肝斑が混ざっているパターンです。

診断が間違っていると、治療を行っても効果を期待できなくなります。
日光性色素斑と肝斑の治療法は、全く同じではありません。
例えば、肝斑にシミ用のレーザーやフォトフェイシャルの治療をしてしまうと、肝斑は悪化することが多いので注意が必要です。

周囲の皮膚との境界がはっきりしていないシミの場合には、肝斑などの可能性を考える必要があります。

 

日光性色素斑に対する治療法5

日光性色素斑に対する主な治療法は、レーザー、フォトフェイシャルトレチノイン+ハイドロキノンですが、イオン導入ケミカルピーリングなども補助的に行うことがあります。

いくつかの治療を併用することで、より高い効果を期待できます。

副作用が出る場合もあるので、自分に合った治療を受けることが大切です。

レーザー

レーザー治療では、シミの原因となるメラニンに吸収される波長のレーザー光を皮膚に照射することによって熱を発生させ、シミの細胞を破壊します。

レーザーには、アレックスレーザー、ルビーレーザー、QスイッチYAGレーザー、ピコレーザーなど、さまざまな種類があります。
フォトフェイシャルなどの弱めの治療と異なり、通常1回の照射で効果が見られることが多いです。

注意点として、肝斑が混ざっている場合、いきなりレーザーを当てると、肝斑が悪化するリスクがあります。
その他、副作用として、皮膚の赤みや腫れ、炎症後色素沈着などが起きる場合があります。

 

治療費の相場

1箇所につき1000~数千円程度。
クリニックによっては、シミの大きさによって料金の違いがあったり、取り放題プランを提供している場合があります。

フォトフェイシャル(光治療)

効果

原理はレーザーと似ていますが、フォトフェイシャルの方が効果がマイルドです。

レーザー光と異なり、フォトフェイシャルで照射する光は、波長域が広いという特徴があります。
そのため、フォトフェイシャルの光は、メラニン(シミの原因)だけではなく、ヘモグロビン(血液の成分)、コラーゲン(皮膚の成分)にも吸収されます。
そのため、シミだけでなく、小じわ、ニキビ、皮膚の赤み、毛穴など、多くの悩みに対する効果が期待できます。

フォトフェイシャルの効果>> 

向いている方

テープを貼るほどのケアが必要のないことが多く、顔に広範囲にシミがある方やシミが多発している方に向いています。
レーザーと違い、治療後の痛みや赤み、色素沈着などが起こりにくい特徴があります。
ただし、レーザーに比べて効果がマイルドなため、繰り返し照射をする必要があります。

治療費の相場

治療費用は、クリニックによって異なりますが約14万円です。

トレチノイン+ハイドロキノン軟膏

こちらは、 塗り薬による治療法です。

トレチノインは、ビタミンAの一種です。
皮膚のターンオーバーを促進し、シミの元になるメラニンの排出を助けます。
また、皮膚の修復力を高める作用もあり、シミだけでなく小ジワや毛穴などにも効果を期待できます。
ハイドロキノンには、メラニンの生成の抑制やメラノサイトの分解作用があり、シミに効果があります。

副作用

トレチノインは、皮膚の赤みや皮膚の皮むけなどを生じることがあります。

ハイドロキノンの副作用には、皮膚の痛みや赤み、接触性皮膚炎、白抜けなどがあります。

トレチノインとハイドロキノンは単独でも使用できますが、併用することによってより高い効果を期待できます。

また、他の治療法の効果を上げるためにトレチノインやハイドロキノンを使用してもよいです。

 

イオントフォレーシス(イオン導入法)

イオントフォレーシスとは、皮膚に入りづらい薬剤を電流を使用してイオン化して、皮膚に入りやすくする治療法で痛みはありません。

シミの治療では、主にビタミンCを皮膚に入れます。

週1回~月1回程度で、症状が改善するまで経過を見ながら治療を続けます。
治療回数に特に制限などはありません。

レーザー治療やトレチノイン、ハイドロキノンよりマイルドな治療なので時間はかかりますが、副作用がほとんどないのがメリットです。

イオントフォレーシスは、他の治療と併用し、補助的に行ってもよいです。

治療費の相場

治療費用は、数千~2万円程度くらいです。

ケミカルピーリング

ケミカルピーリングとは、酸を含む薬剤を皮膚に塗って薄くはがし、皮膚の再生を促しながら、シミやシワなどを改善する治療法です。

ピーリングの中でも、特にシミが厚めになっているような場合は、効果が強めのトリクロロ酢酸 ピーリングが有効とされています。 

美白剤による治療に比べると比較的効果が出るのが早いですが、酸を使用するので炎症後色素沈着が起きる可能性がありますので注意が必要です。

また、日光性色素斑に対して50歳未満では効果的ですが、50歳代では改善効果が減り、60歳以上では不変という結果も報告されているため、年齢を考慮した方がよいかもしれません。

ケミカルピーリングは、他の治療法と併用し、補助的に行ってもよいです。

治療費の相場

約1~3万円のことが多いです。

日光性色素斑の治療効果を高めるポイント4

日光性色素斑の治療効果をより高めるために、日常生活で気を付けるべきポイントがいくつかあります。

紫外線を避ける

紫外線は、日光性色素斑だけでなく、他のシミやシワなどの原因になります。

治療後でも紫外線を浴びてしまえば、日光性色素斑が再発する可能性があります。

また、ピーリングやトレチノイン、レーザーなどの治療中は、皮膚が敏感になっています。
その場合紫外線の影響をいつもより強く受けてしまうこともあるため注意が必要です。

紫外線対策の方法

紫外線の強い日中の外出は避け、日焼け止めや日傘、帽子、サングラスなどを使用した方がよいです。

日常で使用する日焼け止めは、SPF2030PA++以上の弱めのものがおすすめです。

屋内にいても窓から紫外線が入ってくるので、朝から日焼け止めを使うことを意識してください。

皮膚への摩擦を避ける

皮膚への摩擦は、色素沈着の原因になることがあります。

また、特に治療中の皮膚は特に敏感になので、摩擦によっていつもより色素沈着が起きやすくなっています。

毎日の洗顔、メイク、皮膚のお手入れなどの時には、皮膚をこすらないようにして優しく触れるようにした方がよいです。

皮膚に良いものを摂る

内服薬や食べ物で、身体の内側からケアすることも大切です。

ビタミンCには、シミの元となるメラニンの生成に必要な酵素の活性を抑えるため、美白効果があります。

ビタミンCは、サプリメントでも摂取できますし、レモンやイチゴ、キウイ、青汁、ブロッコリーなどの食材からも摂ることができます。

他には、抗酸化作用のある緑黄色野菜や果物をしっかりとることをお勧めいたします。

治療前にしっかりと診断を受ける

シミにはさまざまな種類があるので、最適な治療法をするためにも的確な診断をすることが大切です。

また、治療法によっては副作用もあるので医師の指導のもとで治療をした方が安心です。

もし副作用が起きたとしても、適切な処置をすれば皮膚に跡が残らず治ります。

治療実績がある医師であれば、それぞれの症状に合ったベストな治療法を提示できると考えます。

日光性色素斑の治療を希望するのであれば、まず診断をしっかりとすることが重要です。

まとめ

日光性色素斑は、紫外線によってできるシミで顔や手の甲、腕に発生します。

治療法には、レーザーやフォトフェイシャル、トレチノイン、ハイドロキノンなどがあります。

シミの状態によって、いくつかの治療法を組み合わせるとより高い効果を期待できます。

シミは正しい診断をして、最適な治療をすることが大切です。