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膠原病による顔の赤み・赤ら顔について

 執筆者: 加治佐 卓也
医学博士・形成外科専門医

 

膠原病では、日光アレルギー(光線過敏症)が見られることがあります。

逆に、鼻~頬、額、上まぶたに紅斑(顔の赤み・赤ら顔)が見られる場合、膠原病を疑います。

日光アレルギーがみられる代表的な膠原病には、全身性エリテマトーデス(SLE)があります。
全身性エリテマトーデス(SLE)では、蝶形紅斑が見られます。
これは、紫外線を浴びることで、顔の中央部に赤みがみられることが特徴です。
蝶が羽を広げたように見えることで、そう呼ばれます。

なお、蝶形紅斑は、SLE以外に皮膚筋炎でも見られます。
また、赤み以外に痒みをともなうことがあります。

蝶形紅斑

顔の赤みから膠原病を疑う場合にチェックすべき3つの部位

①耳

耳に萎縮性角化性紅斑がみられる場合、DLEの好発部位であり、SLEを示す重要な症状になります。

②頭髪部

頭髪部の皮疹はSLEや皮膚筋炎、シェーグレン症候群においてみられます。

SLEでは、紅斑を伴う円形脱毛が特徴です。

皮膚筋炎では、フケを伴う脱毛が約30%にみられるという報告もあります。

シェーグレン症候群でも、脱毛症が起こります。

③口の中

SLEの代表的特徴として、上顎の中央に痛みを伴わない潰瘍ができることがあります。

顔面に紅斑を生じることが多いエリテマトーデスでは、様々な皮疹型があり、全身症状が見られない皮膚エリテマトーデスと全身性エリテマトーデスに大きく分類されます。

※光線過敏は、全てのループス皮疹において非常に重要な所見です。

顔の赤み・赤ら顔の原因となる膠原病の種類

シェーグレン症候群(SJS)

顔面の一部に虫刺され様の紅斑が数か月程度みられます。

中央部が色抜けしたような赤い輪状の環状紅斑が特徴的な皮疹で、数日単位でゆっくりと広がっていきます。

強皮症

斑状の毛細血管拡張がみられます。

皮膚エリテマトーデス

皮膚エリテマトーデスでは、以下の皮疹タイプなどがあり、20歳前後の女性に多いとされています。

・円板状エリテマトーデス(DLE)・・・顔や頭部、耳に紅斑が好発し、皮膚の角質がフケのように剥がれ落ちる鱗屑と毛穴の開きを伴います。
また、萎縮や角化の少ないタイプ皮疹が1年以上持続します。

・深在性エリテマトーデス・・・顔や首、腕に好発し、表皮は紅斑や鱗屑がみられ、やがて皮膚の表面が陥没します。

・亜急性皮膚ループス・・・全身症状もみられる中間型とされています。

皮膚筋炎

耳に皮疹が見られることが多いです。

まぶたのむくみを伴ったヘリオトロープ疹も重要な所見です。

紫がかった紅斑が多く、紅斑消失後に色素沈着を残すことがあり、紫外線が皮疹悪化の原因になることがあります。

多発性筋炎

自己免疫の異常により、主に四肢の筋肉に炎症をきたし、筋肉痛や筋力低下が生じる疾患です。

特徴的な皮膚症状があると、皮膚筋炎と診断されます。

※天疱瘡と類天疱瘡も、自己免疫疾患のひとつで、皮膚や粘膜(口の中など)に水ぶくれやただれなどができる疾患です。

この水ぶくれやただれは、全身に生じることが多いです。(顔面を主体として生じる他の類縁疾患もあります。)

 参考文献

Eur J Case Rep Intern Med. 2020 Feb 12;7(3):001462.

MB Derma. 294. 2020.