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用語集|美容外科・美容皮膚科関連

美容外科・美容皮膚科関連の用語についての解説です。

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シワ・たるみ関連

 

皮膚の役割

有害物質や乾燥から守る物理的バリアとしての役割があります。
侵入してきた微生物などは、免疫系や抗酸化力により排除します。
したがって、分子量の大きな美容成分などのほとんど(グロースファクターを含む)は、塗るだけでは浸透しません。

細胞外基質

細胞の外には「細胞外基質」と呼ばれるものがあり、それらが生体の組織を構成します。
細胞外基質は細胞を支える役割があります。
皮膚の細胞外基質には、膠原線維(コラーゲン)、弾性線維(エラスチン)、複合糖質(ヒアルロン酸)の3つがあります。

膠原線維

おもにコラーゲンからなります。
剛性・硬さに関係し、引っ張り強度を与えます。コラーゲンは、細胞外基質の主要タンパク質で、皮膚の乾燥重量の約70%を占めます。
コラーゲンが紫外線や加齢などで減少するとシワ・たるみが生じます。

弾性線維

エラスチンのほか、フィブリリンを多く含んだマイクロフィブリル、グリコプロテインなどからなります。
力が加わって一時的に変形した皮膚が元の形に戻る弾性、つまりバネの働きがあります。
加齢により、弾性線維は伸びたりねじれが出てきたりします。
それによりシワ・たるみが起きます。
50代になる頃には、不整で短縮し、濃縮されます。

また、コラーゲンとの結合も弱くなります。
乳頭層と呼ばれる表皮直下の層の上部には、オキシラタン線維と呼ばれるフィブリリンに富む細い線維束が見られ(垂直に走行)、乳頭層下部にはエラウニン線維(水平に走行)が見られます。
これらが紫外線で傷んでくるにつれて、たるみが生じます。

グリコサミノグリカン

酸性多糖類の総称で、真皮にはヒアルロン酸とデルマタン硫酸が多く含まれ、水分保持・種々の活性物質の伝達に関係します。
保水力の低下は小ジワの原因となります。

プロテオグリカンは、ムコ多糖類とタンパク質の複合体で、フィブロネクチンは細胞の表面のインテグリンと結合し、ともに細胞と基質との接着に関与します。
接着が失われると表皮が浮くことで小ジワが生じると考えられています。

線維芽細胞

基質・線維性分を作る細胞です。
線維芽細胞で合成された素材が細胞外で加工され、細胞外基質成分の三次元構造が作られます。
グロースファクターは、線維芽細胞を活性化・増殖させることで、コラーゲンを増やし、シワ・たるみを改善します。

表皮

表皮細胞(ケラチノサイト)が層状に重なりできています。
表皮の厚みは約0.2mmで、95%が角化細胞からなります。
表皮の下の方から分裂し、上の方へ移行します。
ターンオーバーは約45日です。
基底層:一層の細胞の下の基底膜にはデスモソーム、ギャップジャンクション、ヘミデスモソームがあります。
細胞質内にはケラチン線維があります。
有棘層:5~10層、顆粒層は2~3層からなります。
これら2つの層にオドランド小体があり、その内容物であるセラミドと呼ばれる糖脂質は、角層細胞間に放出され、耐水性バリアを形成し、保湿の役割を果たします。
角層(角質層)は約10層からなり、その直下には透明層があります。
角層の細胞内にはケラチン線維があります。
ケラチン線維の角化には、フィラグリンと呼ばれる顆粒細胞で作られるタンパク質とともに凝集します。
フィラグリンは、遊離されたのち、角層上部でアミノ酸などに分解され、天然保湿因子として、保水・紫外線吸収の役割を果たします。
角層細胞は、核がなくなった死んだ細胞ですが、フィラグリンのタンパク分解酵素の働きで分解されることにより生じたペプチドやアミノ酸が天然の保湿の役割をすることで、角層がしなやかさになります。
角層の水分保持にはアミノ酸と糖脂質が重要です。
角層は通常よりも細胞膜が厚く(不溶性の周辺帯という裏打ち構造がある)、バリアが発達しています。
表皮の細胞の残り約5%には、メラノサイト、ランゲルハンス細胞、メルケル細胞があります。

真皮

表皮に比べると、細胞はまばらです。
線維芽細胞の他、マクロファージ、肥満細胞等が存在します。
細胞外基質である膠原線維弾性線維の間を、グリコサミノグリカンが埋めています。
おもに乳頭層網状層からなります。

乳頭層は、表皮直下の狭い部分で、線維構造は細く、細胞成分やプロテオグリカンの間質成分のほか、毛細血管も多く見られます。
網状層は、真皮の大半を占め、線維構造は太く、細胞成分や血管系は少ないです。
加齢により真皮のコラーゲンの減少などによりシワ・たるみが起きます。

コラーゲン

約1000個のアミノ酸が3 本集まることでできたα鎖が、さらに立体的になることで形成されます。
コラーゲンの分子が25%ずつずれて重なり合って膠原細線維を形成します。
コラーゲンは、I 型からXII 型までのタイプがあります。
皮膚ではI型が約75-80%、Ⅲ型が約15-25%を占めます。
それ以外は微量のみ存在します。

コラーゲンはI・Ⅲ型ともに年齢とともに減少していき、シワ・たるみが起きます(内因性老化)。
フィブロネクチンという接着タンパク質は、コラーゲンと真皮の細胞を結合する役割があります。
紫外線への暴露によりコラーゲン合成能が低下、分解がおこり、またコラーゲンの変性をきたし、それによってもたるみが起こります(外因性老化)。

コラーゲンの減少は40代から徐々に目立ち、50代以降は顕著になります。
つまり、40代くらいからシワ・たるみが徐々に目立つようになることが多いと言えます。
レチノイン酸は、MMP(コラーゲンを分解)の発現を抑制することが知られています。
レチノイン酸は、メラフェードにも含まれ、顔のたるみ治療を行う上で、グロースファクターと相乗効果を発揮できます。

エラスチン

真皮のタンパク質の約2-5%を占めます。
エラスチン同志がつながることでネットワーク構造を作り、自在に伸縮します。
半減期は約70年と長く、生涯にわたりほとんど代謝はされないとされる、安定した物質です。
ミクロフィブリル(フィブリリン)と無定型エラスチンがエラスチン線維の主成分です。

ミクロフィブリルは基底膜直下に垂直方向に走行しており、基底膜を真皮につなぐ役割があります。
エラスチンはプロエラスチンというタンパク質や多糖類、硫酸を含みます。
顔などの露出部では、年齢とともに蓄積していき、弾力が低下することで、たるみが起こります。

一方、非露出部では、断片化され、減少していきます。
紫外線と熱は、弾性線維のネットワークにダメージを与える
ことが知られており、これらは最も重要なたるみの原因です。

基底膜

表皮の一番深いところにあります。
表皮細胞から分泌されたIV 型コラーゲンのネットワークの重層構造に、接着タンパク質やプロテオグリカンが結合してできます。
表皮側では基底層のヘミデスモソームと接触し、真皮側ではVII 型コラーゲンからなる係留線維や弾性線維と接触しています。

皮膚の老化

皮膚の老化は、加齢による細胞機能の低下や全身のホルモンレベルの変化といった内因性の生理老化と、「乾燥」「酸化」「光老化」といった環境要因による外因性の老化に大別されます。
特に主に日光に曝された結果としてもたらされた皮膚の退行性変化を光老化Photoaging(= 外因性老化)と呼ばれます。

顔の場合、お肌の老化の80%は光老化が原因です。
老化の要因のうち、遺伝的要因は全体の3%程度にしかすぎません。
各年代の皮膚を病理組織学的に見た研究では、顔の皮膚のコラーゲンは30代から変性(=シワ・たるみ)が始まることが分かっています。

ある研究では、非露出部(腹部など)のエラスチンは10歳未満で49.2%だったのが、80代では30.4%に減少していたという報告があります。
逆に露出部では56.5%から75.2%へと増加していました。
また、組織像では、変性した異常なエラスチンが減少したコラーゲンを埋めるように増加していました。

量的には、露出部にエラスチンが加齢とともに徐々に蓄積する一方、非露出部のエラスチンは断片化され、量が減っていました(たるみの原因)。
露出部・非露出部ともに、年々コラーゲンの量は減少していきます。
露出部では、コラーゲンの減少とエラスチンの蓄積が特徴的です。

非露出部ではコラーゲン、エラスチンの両者が減少します。これは合成が減ることと、分解が増えることによると考えられています。
露出部では、線維芽細胞の合成能も減少しており、30~40代になるとエラスチンの遺伝子発現も減少しています。

加齢とともに細胞外基質のMMPsの異常発現も見られます。
これらは、内因性の皮膚の老化(皮膚が薄くなる・たるみ・小ジワ)を生じさせます。
内因性と外因性の老化は、病理学的にも外見的にも重複した所見が見られます。
結論として、皮膚の老化は、複合的な現象であり、外因性・内因性の老化はともにコラーゲン・エラスチンの量的・質的な変化をもたらします。

外因性老化

紫外線が主な原因です。
外因性老化では、表皮、真皮の両方にダメージが生じます。

かつては、ビタミンDの合成促進のために日光浴は推奨されていましたが、肌のダメージや皮膚癌のリスクが高まることから、あまり推奨されなくなりました。
紫外線に30分当たるだけで、皮膚のタンパク質の酸化や形態の変化が起こり、さらに活性酸素が産生されます。
初期には弾性線維の過形成が起こり、長期的には弾性線維の断片が蓄積されます。

光老化に特徴的なのは、日光性弾力線維症と呼ばれる弾性線維の小塊状変性です。
真皮乳頭層から始まり、徐々に変性が真皮網状層全体に見られるようになります。
バネが複雑に絡みあって、本来の弾力が失われ、バネが効かない硬い状態(=顔のたるみ)になります。
これは、エラスチンが過剰に産生される一方でエラスチン分解酵素阻害作用を持つエラフィンの発現が増え、合成と分解のバランスが崩れたため起こります。

また、コラーゲンは減少していき、他のプロテオグリカン、グリコサミノグリカンといった基質に置き換わります。
これもたるみの原因となります。
コラーゲンの変性には、MMP-1という酵素が関与します。

また、タバコの煙も内因性と外因性の老化への両方へ悪影響を及ぼします。
特に真皮の弾性線維に影響が大きいです。つまり、たるみの原因となります。
喫煙者に特徴的な顔貌である「スモーカーズフェイス」の特徴として、目尻や口周りの深いシワがあります。

タバコはMMPsを活性化し、その酵素がコラーゲンを分解することで、顔のたるみが起こります。
1日35本以上喫煙するヘビースモーカーの人は、非喫煙者に比べ顔のシワの相対危険率が、紫外線の影響を除いて4.7倍あります。
日光暴露が1日2hr以上の場合、相対危険率はそうでない人に比べ2.65倍です。

喫煙+日光暴露の環境因子があれば、非喫煙+日光暴露の人と比べると11.4倍もの相対危険率があります。
つまり、喫煙と紫外線(日光)がシワ・たるみに大きく関わっています。
その他、大気汚染は顔のシミに影響します。

酸化ストレス

生体が酸素を利用して生命維持に必要なエネルギーを生成時に発生する活性酸素が、光老化に追い打ちをかけることもあります。
紫外線と活性酸素は、ともに細胞の遺伝子や細胞膜を傷つけます。

酸化ストレスは、紫外線とは別に、それ単独でも真皮のコラーゲン量を低下させ、コラーゲン線維や弾性線維を切断する酵素活性を促進し、顔のたるみの原因となります。
この結果、コラーゲン線維に絡まっている弾性線維は減り、コラーゲン線維が伸びきった状態(弾力の低下=たるみ)になります。

また、酸化ストレスは消去する以上に産生自体を抑制することが重要です。そのためには、抗酸化物質の使用以外に紫外線を避ける(日焼け止め等)などが有効です。
タンパク質の酸化にはいくつかの過程があります。初期の過程であれば修復機転が働きます。
表皮は真皮よりも抗酸化物質が豊富なため、紫外線の影響を受けにくいです。

内因性老化

年齢とともに、表皮と真皮の境界面の起伏は平坦化し、表皮基底層の細胞が不揃いになります。
また表皮細胞の代謝・活性も低下します。真皮はコラーゲン量が減少し、薄くなります(=シワ・たるみ)。
内因性老化では、エラスチン線維の成分であるマイクロフィブリルの長さが短縮します。

シワ

シワは形態学的に、線状ジワ・図形ジワ・ちりめんジワの3つに大別されます。

線状ジワは、目尻・眉間などに、図形ジワは、頬や首などの露光部に、ちりめんジワは大腿・腹部などの非露光部に主に生じます。
ちりめんジワは表皮性のシワで、深い線状ジワや図形ジワは真皮まで変性しています。
また、角層の細胞間脂質やアミノ酸が減少することで水分保持能力が低下し、小ジワの原因となります。

これに対してグリセリンやセラミドなどで保湿することで改善します。
シワは、繰り返し肌が動かされることで発生し、さらに動かし続けることで、徐々に折れ癖ができます。
これは、コラーゲンの方向性に変化が生じることによります。そのため、シワは長期放置することで、だんだん深くなります。

AGEs(最終糖化産物)

タンパク質に糖が結合する反応を糖化といいます。
最終的には、AGEs(最終糖化産物)という物質に変化します。
AGEsは、糖尿病をはじめとする生活習慣病や炎症、酸化ストレスが増大する状態で増加します。
AGEsにより肌の黄ばみが生じます。

また、コラーゲンは糖化反応によりAGEsに変化し、線維間で結合することにより弾力が低下し、シワ・たるみの原因となります。
AGEの沈着は年齢とよく相関します。
糖化ストレスの予防法としては、運動により筋肉量を維持することが挙げられます。
70%以上の血糖は骨格筋で消費されるため、骨格筋を増やすことが耐糖能を改善します。

つまり、運動を継続することで顔のたるみを予防できると考えます。
また、ゆっくりよく噛んで食べることで糖化ストレスを軽減し、血糖の上昇をゆるやかにすることができます。
その他、グリセミックインデックスが低い食事やジュースや菓子類など砂糖を含む食品を避けることも有効です。
少量のアルコールは代謝を促進し、糖化ストレスを軽減することができます。

顔のたるみ

加齢に伴う顔のたるみには、顔の3つの脂肪(頬部脂肪、頬骨部脂肪、眼輪筋下脂肪)および眼窩脂肪(目の下のクマの原因)が関与しています。

また、顔面には、お肌とさらに深いところを結合するいくつかの靱帯が存在しています。
これは、いわば見えない壁を作ります。
たるんで重力で下がった皮膚は、こららの靭帯がある場所でせき止められ、シワ(ゴルゴ線・法令線など)が生じます。

顔の靭帯は、頬骨弓前方、耳前部、顎角部、下顎下縁などにあります。

精神的ストレス

精神的、感情的なプレッシャーが適応の限度を超えた時に精神的なストレスは生じます。
この時にcorticotoropin-releasing hormone(CRH)、グルココルチコイド、エピネフリンなどが分泌されます。

このうち、コルチゾールが主なストレスホルモンであり、様々なストレス反応に関わっています。
エピネフリン、ノルエピネフリン、コルチゾールはDNAの損傷をおこし、その修復を妨げます。
カテコラミンの慢性的な刺激はDNA損傷の原因となります。

マウスによる研究で、慢性的な精神的ストレスは、コラーゲンの減少などを特徴とした皮膚の老化(=シワ・たるみ)を促進すると報告されています。
その他、免疫の異常、酸化ストレス、DNAの損傷が起こります。

睡眠

睡眠の質が悪いと内因性の老化(小ジワ、シミ、顔のたるみ)の原因となります。
また、肌の修復能力が低下します。

<参考文献>
Exp Dermatol. 2002 Oct;11(5):398-405.
J Clin Invest 2000: 106: 663–670.
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順天堂医学雑誌 2013 59:321-6
Biomolecules 2015 April;5, 545-589
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アンチ・エイジング医学 2014 10(6): 864-870

 

目の下のたるみ・クマ関連

下まぶたの裏側のじん帯(CPF)

目の下の構造 断面図

下まぶたの裏側のじん帯は以下のように細かく分かれます。

目の下のじん帯の分岐

CPF(caplulopalpebral fascia)は、下直筋筋膜が下斜筋の位置で2層に分かれ、Lockwood靭帯を経て、下瞼板、皮下、結膜円蓋部に終わる筋膜構造です。
Lockwood靭帯を境に、近位部をcapsulopalpebral head(CPH)、遠位部をcapsule palpebral fascia(CPF)と呼びます。
CPHおよびCPF、さらにその中の平滑筋線維を含めたものがLERになります。
LERは前葉・後葉に分かれ、後葉が牽引のメインです。

CPF(caplulopalpebral fascia)は、眼窩下縁面を構成する上顎骨と頬骨の骨膜に由来します。
この筋膜は、外側では肥厚し、orbicularis retaining ligamentとして観察されることもあります。
内側では薄いため、眼窩脂肪の突出による影響を受けやすい特徴があります。
眼球下方視の際は、瞼板だけではなく瞼板前部眼輪筋も一緒に引きこまれるため、睫毛下にはくぼみができます。(目の下がえぐれた印象になる)
加齢によりCPFは緩み、下垂がおこるため、眼輪筋の圧迫とともに眼瞼内反の原因となります。
Lower eyelid retractors(LER)はCPFと瞼板筋(平滑筋)との総称です。
日本人では瞼板筋と瞼板は結合していません。

参考文献:
眼形成外科ー虎の巻ー. メディカル葵出版. 2009
形成外科57(9).993-999.2014

皮膚支帯(retinacula cutis)

皮膚真皮と眼輪筋との間に存在する線維性結合組織です。
この構造が加齢により乱れると真皮と眼輪筋の間に隙間ができ、目の下の皮膚が下がりやすくなります。
SMFAL(submuscular fibroadipose layer)と記載されることもあります。

Suborbicularis oculi fat(SOOF)

目の下の眼窩部眼輪筋下の脂肪組織(頬の上の方の皮下脂肪)です。

これは目の上にもあり、腫れぼったいまぶたを手術で改善する際に切除の対象となります。

orbicularis retaining ligament (ORL)

目の下のじん帯

目尻にある顔のじん帯の一つ。
目尻の溝の原因となります。
このじん帯は、下の図のように眼輪筋の腱板部(隔膜前部)と眼窩部の境界線に付着します。

ORLは、眼窩の肥厚部より起こり、瞳孔中心線外側の眼輪筋の腱板部と眼窩部の境界線に付着します。

orbicularis retaining ligament (ORL)は、老化による眼輪筋の下垂を下から支える役割があります。
これらによりtear trough deformityの内側部が確定します。
このくぼみは、若年者でも見られることがあります。
加齢に伴い、中央から外側にかけて、palpeblomalar grooveが見られるようになります。

目の下のくぼみの名前①(nasojugal groove)の由来と特徴

nasojugal foldは、1932年にWhitnallにより報告されました。
100年近くも前です。
これは「眼輪筋の下端」を指し、同時に上唇鼻翼挙筋という鼻の脇を縦に走る筋肉との境目に当たります。

1993年に Loebがnasojugal grooveを報告しました。(参考文献>>
「fold」は、日本語の「ひだ」に相当します。
つまり、凹凸の凸に当たります。
一方、「groove」は「溝」に相当します。

nasojugal grooveに一致するじん帯構造については諸説あります。

目の下のくぼみの名前②(tear trough deformity)について

Tear trough deformityは、目の下のふくらみによりできる目の下と頬の間の溝のことです。
lid-cheek junctionがある眼窩下縁の2-3mm下にできるとされます。
眼輪筋の隔膜前部と眼窩部(後述)の境目にできます。
これは頬の脂肪(malar fat pad)の端と一致します。
Tear trough deformityは、加齢に伴い、retaining ligament(顔のじん帯)の弛緩や中顔面の下降などにより変化します。(参考文献>>

1970年、Flowesによりtear trough deformityは「目袋の下端である」と定義され」ました。(参考文献>>
一方、naso-jugal grooveは眼輪筋の下端としています。
目袋は下垂することから、両者は混同されるようになったという経緯があります。

tear trough deformityについては、以下の眼輪筋・上唇鼻翼挙筋、上唇挙筋で囲まれる三角形の領域を指すという報告もありますが、現在は否定されています。(参考文献>>

naso jugal groove