手の甲の血管が目立つ「ハンドベイン」が気になりますか?
手の甲の血管が浮き出ると、視線が何となく気になりますよね。
手の甲の血管が目立つ「ハンドベイン」に対しては、レーザーや注射などいくつかの治療法があります。
また、クリームなどで改善効果があるのか、気になる方もいらっしゃると思います。
ここでは原因と治療法の比較についてくわしく解説いたします。
ぜひ参考にしてみてください。
目次
手の甲の血管が目立つ「ハンドベイン」とは?
ハンドベインとは、手の甲や腕の血管が浮き出ている状態です。
「ベイン」は、静脈という意味です。
手の甲の血管が目立つ「ハンドベイン」が気になる理由は?
手の甲は人の目に触れやすい部位です。
特に人に会う機会が多い方は、手の甲の血管が浮き出ていると、視線が気になることがあります。
そのためストレスを感じる方もいます。
手の甲の血管が目立つ「ハンドベイン」は病気?
多くの場合、手の甲の血管が浮き出るのは病気ではありません。
ハンドベインを治療するとすれば、美容的な理由になります。
美容的な治療に対しては、保険適応はありません。
まれに、静脈の弁が壊れて逆流により手の甲の血管が拡張することで、浮き出て目立つこともあります。
その他、生まれつき、本来つながるはずのない動脈と静脈の間がつながることで、動脈から静脈に勢いよく血液が流れ込むことで、手の甲の血管が拡張して目立つことも、ごくまれにあります。
手の甲の血管が目立つ「ハンドベイン」は何科を受診すればよい?
美容皮膚科・美容外科、血管治療専門クリニックで治療可能です。
痛みやしびれがある場合は?
ハンドベインで痛みやしびれが起こることはなく、頸椎が原因であることも考えられるので、その場合は整形外科の受診をお勧めいたします。
手の甲の血管が目立つ「ハンドベイン」が起こる原因は?
血管は加齢により広がる傾向があるため
血管には複数の層があり、構造を維持する層が形を保っています。
血管自体の弾力が落ちることで、血管が広がるのが、手の甲の血管が浮き出る原因となります。
皮膚が薄くなることで、透けて見えやすくなる
皮膚のコラーゲンが減ることで、皮膚が薄くなり、手の甲の血管や腱が浮いて見えやすくなります。
コラーゲンは、皮膚の主成分です。
紫外線や加齢などの影響により減少します。
手の甲の皮膚は、60代だと20代の約半分くらいに薄くなります。
痩せているため
皮下脂肪が少ないと、手の甲の血管が透けて見えやすくなります。
その理由は、皮膚と静脈の間には皮下脂肪があり、静脈をさえぎるカバーの役割をしているためです。
手をよく使うため
普段から手をよく使う方は、手や腕の血管が発達し、ハンドベインが目立つようになります。
これは、手の内部には複数の筋肉があるため、そこへの酸素の需要が高まると、それに応じて血流が増えるためです。
遺伝
体質的に手の甲の血管が広がりやすい方もいます。
そのような方は、ハンドベインがどうしても目立ってしまいます。
手の甲の血管が目立つ「ハンドベイン」をご自分で予防するケア方法
お勧めの方法
・日焼け止め
一番は日焼け止めです。
顔に塗ることが多いと思いますが、手の甲にも塗るようにすると、長期的には皮膚を若々しく保ち、ハンドベインが目立つのを予防する効果があります。
・トレチノイン軟膏
皮膚の代謝を上げることで、手の甲の小ジワを改善する効果があります。
また、ハイドロキノンを併用すると、くすみが取れてよりきれいになります。
ただし、手の甲の血管の浮き出し・ハンドベインに対する効果は弱いです。
あまりお勧めしない方法
・マッサージ
こちらの方法では、手の甲の皮膚のコラーゲンは変化しません。
そのため、ハンドベインに対しては効果がありません。
全く何も変わらないと言ってもよいです。
・市販の美容クリーム
こちらも手の甲の皮膚のコラーゲンを増やすほどの効果は期待できないとお考え下さい。
保湿による小ジワ予防くらいにしかなりません。
そのため、手の甲のハンドベインに対しては無効と言えます。
手の甲の血管が目立つ「ハンドベイン」に対しておすすめできる治療法
手の甲の血管が目立つ「ハンドベイン」に対する治療法としては、2つのパターンがあります。
- ①血管そのものを小さくする方法
- ②血管を目立たなくさせる皮膚の若返り
2つの治療法の比較は、以下の通りです。
手の甲の血管・ハンドベインの治療法の選択はどのようにすればよい?
手の甲や腕の血管をしっかりなくしたい方は、血管内レーザー治療がお勧めです。
ただし、未治療の血管が後から目立つこともあります。
また、血管内レーザー治療では、皮膚自体が薄くなった状態は変化しません。
そのため、手の甲のシワ改善や若返りのために、グロースファクターを仕上げに行うのも一つの方法です。
ハンドベインの治療法1. 血管内レーザー治療
手の甲や腕の血管内にレーザーファイバーを挿入し、内側からレーザーを照射して血管を収縮させます。
血流が完全に途絶えないように控えめに治療をすることもできます。
ただし、蛇行が大きい場合や細い血管は、治療が難しいこともあります。
施術後は、しばらく包帯や圧迫用のサポーターを付ける必要があります。
血管そのものに対する治療としては、最も確実で安全な治療法です。
麻酔方法
局所麻酔を行います。
リスク・危険性・副作用
- 内出血
- 腫れ、しこり
- 感覚の麻痺(数か月続く)
- 治療した静脈血管以外の目立ってくる場合があります。
これは、レーザー治療により手の血流が悪くなるため、体が血流を代償しようとするためです。
国内の報告(PEPARS.99.2015.59-63.)によると、血管内レーザー治療で以下の確率で合併症が生じたとあります。
- 指先へのしびれ:6例/122例
- 閉塞不十分により追加治療を要した例:5例/122例
- やけど:5例/122例(このうち2例はやや深いやけど)
- 未焼灼の血管が目立つようになった例:10例/122例
ハンドベインの治療法2. グロースファクター
手の甲のハンドベインが目立つ原因の一つに皮膚が薄くなることがあります。
皮膚が薄くなるのは、紫外線や加齢の影響で、皮膚の主成分であるコラーゲンが減るためです。
施術は、非常に細い針で注射を手の甲全体に注射していきます。
グロースファクター注入後、半年かけてコラーゲンが増え、手の甲の皮膚が厚くなることで、ハンドベインが目立ちにくくなります。
施術後の包帯は不要です。
1回で効果が出て、一旦改善した後の効果は長期維持されます。
麻酔方法
局所クリーム+冷やしながら行います。
リスク・危険性・副作用
腫れはあまりありません。
1週間から10日ほど内出血が出ることがあります。
内出血が引くまでの期間には個人差があります。
手の甲の血管が目立つ「ハンドベイン」にあまりおすすめしない治療法
ヒアルロン酸・レディエッセ
ジェル状の物質を注射により手の甲の皮膚の下に入れて、ふっくらとさせる治療法です。
ヒアルロン酸は、半年から2年くらいで、レディエッセは約2年で吸収されてなくなってしまうため、繰り返しが必要です。
リスク・危険性・副作用
海外の報告では、手の甲のレディエッセの注入後の15%に知覚麻痺が、46%に生活に支障が出たとあります。
また、血管内に誤って注入させて、血管が閉塞し、手根管症候群(指先のしびれ、痛み)が悪化した例があります。
脂肪注入
太ももから脂肪吸引を行い、手の甲の皮膚の下に入れて、ふっくらとさせる治療法です。
部分的に定着しないこともありますが、一度定着したものは長期維持されます。
リスク・危険性・副作用
- レディエッセと同様に、血管内に誤って注入させて、血管が閉塞するリスクがあります。
- しこりになるリスク
皮膚が薄い方だと、手を動かした時にしこりが凹凸となって目立つこともあります。
それは、脂肪注入では、肌質自体は改善しないためです。
硬化療法
血管を固める薬剤を血管内に注入する方法ですが、現在は手の甲のハンドベインの治療にはあまり行われていません。
その理由としては、ハンドベインの原因となる浅いところの血管以外に深部の静脈にも硬化剤が流れていくことがあり、指先の血液の循環が悪くなることもあるためです。
血管は、動脈・静脈を含めて元々必要性があって存在しています。
実際に、指の切断に近い大けがでは、静脈1本が残っているか残っていないかで、指先の生存確率が大きく変わります。
リスク・危険性・副作用
血管が硬くなり、しこりになって残ることがあります。
NdYAGレーザー
昔は皮膚表面からのNdYAGレーザーが試みられたこともありますが、非常に細い血管にしか効果がないため、手の甲のハンドベインの治療には不向きであると言えます。
手術による手の甲の血管の摘出
行おうと思えばできますが、傷などの問題があります。そのため、腕や手の甲のハンドベインの治療には不向きであると言えます。
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