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赤ら顔・顔の赤み(紅斑)|原因と治療法について

 執筆者: 加治佐 卓也
医学博士・形成外科専門医

顔の赤みでお悩みですか?

赤ら顔・顔の赤みをきたす疾患には、以下のようなものがあります。

  • 接触皮膚炎(化粧品やシャンプーなどで発症)
  • 脂漏性皮膚炎やニキビ、酒さなど
  • 日光皮膚炎
  • 日光アレルギー
  • SLEや皮膚筋炎などの膠原病
  • 花粉皮膚炎
  • しもやけ
  • ヤケド
  • 伝染性紅斑(リンゴ病)
  • 好酸球性膿疱性毛包炎(EPF

ここでは、それぞれの特徴と原因・治療法について解説いたします。

接触皮膚炎

原因

・スキンケア製品(化粧品や洗顔料など)の過剰使用や擦り過ぎ

⇒化粧品や日焼け止めなどに使用される「酸化鉄」には、金属などの不純物が微量に含まれているので、金属アレルギーの方は、化粧品選びも慎重に行う必要があります。

・シャンプー

・ヘアカラー剤によって頭皮による皮膚炎

※中には職業や趣味で取り扱うのもがアレルゲンになることもあります。

製品に含まれている小麦などの成分によりアレルギーを誘発することもあります。

アレルギーによって蕁麻疹が誘発された場合は、その原因物質を迅速に特定し、使用の中止をすることが重要です。

症状

・顔面中央部の紅斑(赤み)

※化粧品は、皮膚の吸収性は均一ではないため、顔全体に使用していてもまだらに出現することもあり、顔全体に出現するとは限りません。

・痒みや皮疹

・色素沈着

・まぶたのむくみや紅斑

対策

・洗顔料や基礎化粧品などを速やかに中止

※お化粧を希望される場合は、ファンデーションは使用し、夜の洗顔はメイク落としのみ使用していただくことで、皮膚刺激や摩擦を減らすことができます。

※症状が顔面だけでなく、首筋や腕などにも生じている場合には、シャンプーやリンスなども中止し、代替品として、刺激の少ない製品を使用します。

・スキンケアにはワセリンを使用

・メイクや日焼け止めに関しては、UVケアも可能なメイク用品の使用により、極力シンプルなスキンケアを目指します。

接触皮膚炎の詳細≫

脂漏性皮膚炎

乳児期と中高年期に好発します。

ちなみに、脂漏性皮膚炎と同様の疾患としてフケ症が挙げられますが、症状は赤みを伴わないフケのみが目立ちます。

原因

  • 体質やホルモンによるもの
  • 真菌(カビの一種)
  • ストレス
  • 気候
  • 栄養
  • スキンケアや薬剤の影響

症状

・フケと赤み

・顔面中央部の紅斑

真菌によって炎症が生じた場合は長期にわたり、軽快増悪を繰り返すことが多いです。

治療法

・抗真菌剤やステロイドの服用

・レーザー治療

ニキビ

赤みの原因

  • 炎症そのものによる赤み
  • 炎症後の赤み
  • 外用薬使用による赤み

ニキビの赤みに対する治療法

・パルス色素レーザーやYAGレーザーなどのレーザー治療

※ただし、体への負担が大きいため、赤みやニキビ跡への対策も併せて行う場合にレーザー治療を選択します。

・ケミカルピーリング

・機能性化粧品

※色素沈着や炎症による皮疹に対してビタミンC誘導体が含まれているものが有効とされています。

・イオン導入や超音波導入

※機能性化粧品を、より肌へ浸透させることができます。

メイクについて

ニキビのあるすべての方がメイクを禁止する必要はありません。

肌の悩みに少しでも前向きになれるよう、ニキビが生じにくいお化粧品を使用して炎症後の赤みをカバーすることもお勧めします。

酒さ

主に中高年の頬、鼻、あご、額に好発する、原因不明の難治性の疾患です。

高脂血症やパーキンソン病、またグリオーマなどの腫瘍やリウマチなどの自己免疫疾患の方に多いと言われています。

欧米と比べ、日本は頻度が低く、重症例も少ないです。

原因

  • 紫外線
  • アルコール摂取
  • 急な寒暖差
  • 毛包虫などの悪化

症状

  • 紅斑、丘疹、膿疱
  • 血管拡張
  • ほてり感

分類

酒さは以下の4つに分類されます。

  • 1度酒さ(紅斑毛細血管拡張型)・・・赤ら顔
  • 2度酒さ(丘疹膿疱型)・・・ニキビ様の皮疹
  • 3度酒さ(腫瘤型)・・・鼻の毛穴の開き、凸凹
  • 第4度酒さ(眼型)・・・目の周囲の腫れ、結膜の充血

検査

酒さが疑われる赤ら顔の方には、アレルギー検査を行います。

治療法

・レーザー治療(赤ら顔に有効)

・酒さ様皮膚炎では、ステロイドの服用を中止し、基礎疾患の治療を行います。

※ステロイドの服用を中止することで、2週間前後の一時的な増悪が見られることがあります。

・イオン導入

※微弱な電流を流すことで保湿され、赤みを軽減する効果があります。

※週に1回の治療をおすすめします。

※丘疹膿疱型の酒さで、顔ダニと言われるにきびを合併している方は、イオン導入とケミカルピーリングを併用すると、より効果的とされています。

酒さの詳細≫

予防法

それ以外の酒さなどで顔面に紅斑が生じている場合は、紫外線と波長の異なる太陽光(可視光線や赤外線)を浴びた後に赤ら顔が悪化します。

そのような場合は、日焼け止めクリームでの効果は見られません。

帽子や日傘など物理的な遮光対策が重要です。

・物理的に遮光する方法

カーテン:日差しが部屋の中へ進入することを防ぎます。

帽子:つばが大きいタイプが紫外線防止効果が高いです。

日傘:黒であれば紫外線加工を施していなくても100%の遮光効果があります。

しかし、白いタイプは紫外線加工を施していないと1530%の紫外線が透過するため、紫外線加工が施された透過0%のものを使用すると良いでしょう。

※太陽光線の種類と波長について

◎紫外線

地上に届く太陽光線の中の290400nmの波長領域が紫外線(UV)と呼ばれます。

そのうちの波長の短い方がUVB、長い方がUVAです

◎赤外線

1500nm以下の赤外線を近赤外線と呼びます。

赤外線は、紫外線や可視光線より波長が長く、皮膚の深いところまで到達します。

赤外線のエネルギーは、皮膚を温め、血管を拡張する作用があります。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、様々な増悪因子により引き起こされる免疫・アレルギーにより、炎症や皮膚のバリア機能低下、皮膚の乾燥や痒みが生じます。

アトピー性皮膚炎による赤みの原因

ステロイドの長期使用による毛細血管の拡張

※ステロイドの使用初期は毛細血管が収縮します。

アトピー性皮膚炎による顔の赤みの症状

  • 痒み
  • 特徴的な皮疹の広がり
  • 慢性的な症状の繰り返し

治療法

  • スキンケア(洗浄・保湿・紫外線予防)
  • 抗炎症外用薬による薬物療法
  • 悪化因子の除去とその対策
  • 帽子や日傘など物理的な遮光対策

予防法

紫外線と波長の異なる太陽光(可視光線や赤外線)を浴びた後に赤ら顔が悪化する場合は、日焼け止めクリームでの効果は見られません。

帽子や日傘など物理的な遮光対策が重要です。

日光アレルギー(光線過敏)

日光アレルギー(光線過敏)では、日光を浴びた部位に痒みを伴う赤みや浮腫みが生じます。

顔では額や頬、鼻などに、顔以外であれば、耳や首の後ろ、鎖骨付近などの部位に多く見られます。

日光アレルギーの種類

日光アレルギーは以下のタイプに分類されます。

  • 急性
  • 慢性
  • 一過性

また、原因としては、以下の種類があります。

  • 生まれつきのもの
  • 環境による影響など後天的なもの
  • 薬剤によるもの

日光アレルギーによる紅斑がみられる疾患には、色素性乾皮症などの幼児期に発症する疾患と、膠原病などの成人に好発する疾患の大きく2つに分類されます。

ここでは、幼少期と成人期それぞれの時期で好発する疾患について解説します。

幼少期に好発する日光アレルギー

色素性乾皮症では、幼児期から顔や背中などにそばかすのようなシミが多発し、皮膚癌が起こりやすくなります。
健常者よりも、日光を浴びた後の赤みのピークが3日後くらいと遅いのが特徴です。

種痘様水疱症や骨髄性プロトポルフィリン症では、幼児期から赤みや水ぶくれが生じます。

成人期に好発する日光アレルギー

日光蕁麻疹

日光を浴びた部位に皮膚が赤く盛り上がる膨疹ができる疾患です。

晩発性皮膚ポルフィリン症

体内にウロポルフィリンが増加することで日光アレルギーを引き起こします。

紫外線を浴びることで、赤みや水ぶくれやただれ、かさぶたなどがみられます。

膠原病

全身性エリテマトーデス(SLE)では、蝶形紅斑が見られます。
これは、紫外線を浴びることで、顔の中央部に赤みがみられることが特徴です。

皮膚筋炎では、上まぶたの浮腫みを伴うヘリオトロープ紅斑が、シェーグレン症候群では、虫刺され様の紅斑や環状紅斑が見られます。 

膠原病による赤ら顔の詳細≫

その他の紅斑を症状とする日光アレルギー

薬剤性光線過敏症

薬剤を摂取することで日光アレルギーを引き起こすことがあり、薬剤性光線過敏症と呼ばれます。

降圧薬を内服している方に特に多く見られます。

光接触皮膚炎

湿布などの薬剤を貼った部位に紫外線が当たることで生じるものを光接触皮膚炎と呼びます。

薬剤を貼った部位に限局して、赤みや水ぶくれ、浮腫みがみられます。

慢性光線性皮膚炎(CAD

ほとんどが中高年の男性にみられます。
はっきりとした原因は分かっていません。

顔や手の甲、首、頭頂部に赤み、ブツブツした発疹が生じ、長期的に慢性の経過をたどり、黒っぽい赤みや痒み、皮膚のゴワゴワがみられます。

ひどい場合は、全身が赤くなる紅皮症となることもあります。

予防法としては、可能な限り紫外線の強い日の日中の外出を控えることです。

ペラグラ

ペラグラは、ナイアシンというビタミン不足で起こる栄養失調です。

慢性アルコール中毒できちんと食事を摂らない男性に多くみられます。

日光アレルギーは、顔や手の甲などの紫外線を浴びる部位にみられます。

症状としては、赤みや水ぶくれ、ただれ、かさぶたなどがあります。

湿疹の症状が長期にわたると、慢性化することがあります。

日光アレルギーによる赤ら顔の詳細≫

膠原病

鼻~頬、額、上まぶたに紅斑が見られる場合、膠原病を疑います。

なお、蝶形紅斑と呼ばれる蝶が羽を広げたように見える鼻~頬の赤みは、SLEや皮膚筋炎で見られます。

以前は、膠原病の発疹は痒くないと考えられていましたが、最近では痒みもまれではないことが明らかにされています。

顔の赤みが起こる膠原病の種類

  • シェーグレン症候群(SJS)
  • 強皮症
  • 皮膚エリテマトーデス
  • 皮膚筋炎
  • 多発性筋炎

好酸球性膿疱性毛包炎(EPF

症状

・強い痒みのある膿を伴った湿疹

・発疹は顔面を中心に出現しますが、上半身にも好発し、再燃と寛解を繰り返します。

丘疹や膿疱を伴う酒さの悪化により、毛包虫(ニキビダニ)が増加することが確認されています。

検査

顔面に痒みを伴う紅斑と膿疱があれば、組織検査を行います。

なお、HIVや悪性腫瘍などの合併症として出現することもあるため、基礎疾患の有無の検査も行います。

しもやけ

原因

冷たい刺激によって、循環障害を引き起こし、炎症が生じるとされています。

症状

冬の寒い時期に手足の指先や耳、頬にかゆみやほてりを伴う紅斑が生じます。

症状が強い場合は、水ぶくれやただれもみられることがあります。

入浴時、患部を温めると、かゆみが増強することが特徴です。

治療方針

・冷たい刺激を避け、患部を温めます。

※濡れた手袋や靴下などはしもやけを引き起こす原因となるため、その都度交換することが大切です。

・皮膚症状に応じた軟膏治療を行います。

・末端の循環障害やかゆみに対しては、内服による治療を行います。

やけど

分類

熱傷深度(やけどの深さ)は、やけどした部位や症状を観察し、以下のように分類されます。

  • Ⅰ度・・・表皮まで(赤みや乾燥が見られ、痛みがあります。)
  • 浅達性Ⅱ度・・・真皮浅層まで(水ぶくれ、傷口から滲出液がみられます。強い痛みがあります。)
  • 深達性Ⅱ度・・・真皮深層まで(水ぶくれが破れやすくなります。痛みを感じる神経が損傷されるため、痛みは軽減します。)
  • Ⅲ度・・・皮下まで(色は白~黒ずんだ茶色で、弾力がなくカサカサと乾燥しています。神経が損傷されているため、痛みはありません。)

伝染性紅斑(リンゴ病)

両頬がリンゴのように赤くなる特徴があります。

小児を中心として発症する流行性の疾患です。

通常は飛沫や接触感染です。

まれに、輸血用血液による感染が起こることもあります。

症状

  • 710日頃・・・風邪のような症状がみられます。
  • 915日頃・・・抗体検査で陽性反応が出ます。
  • 1821日頃・・・両頬や手足、体に紅斑がみられ、関節痛を伴うこともあります。

治療法

特に有効な治療法はなく、症状に対しての治療を行っていきます。

貧血が重度の場合は、輸血をすることもあります。

日光皮膚炎

いわゆる「日焼け」による皮膚の赤み・炎症のことを指します。

紫外線により、やけどの状態となります。

症状

腫れや水ぶくれが出ます。

症状は紫外線を浴びた数時間後から始まり、12~24時間でピークとなります。

日光皮膚炎の詳細≫

その他の赤ら顔が見られる疾患

更年期障害

分類

更年期の赤ら顔には以下のパターンがあります。

  • のぼせパターン(最も多いタイプで、ほてり顔と、手足に冷えがある)
  • 敏感肌パターン(皮膚のバリア機能が低下し、赤くヒリヒリする)
  • 毛細血管拡張パターン(皮膚が薄くなり、毛細血管が透けて見える)
  • ブツブツパターン(赤くブツブツした皮疹)

対処法

これらのパターンに応じたスキンケアや生活を行い、漢方薬の導入も検討していきます。

そして、メイクで赤みが目立たなくすることで、症状に悩んでいる方が少しでも前向きになれるようなセルフケアを心がけることも大切です。

皮膚炎の症状があまり見られず、なおかつ、気温の変化などに関係なくこのような症状が出る場合は婦人科の受診をお勧めします。

異型白癬

ステロイドや免疫抑制剤の使用により、大きさの異なるさまざまな皮疹が見られます。

症状

  • 湿疹
  • 狼に噛まれた痕のような紅斑(紅斑性狼瘡)
  • 膿を伴ったかさぶた
  • 毛穴の炎症
  • 白斑
  • 虫刺され様の皮疹

なお、約3割の方は足白癬や爪白癬などの合併症を起こします。

丹毒

丹毒は、真皮に起こる細菌の感染症です。

抗生剤の内服により治療します。

 参考文献

Clin Dermatol. 2017 Mar-Apr;35(2):201-206.

MB Derma. 294. 2020. 

今日の治療指針 2022年版. 医学書院. 2022

N Engl J Med. 2017 Nov 2;377(18):1754-1764.