頬のたるみ・ゴルゴ線をヒアルロン酸で治療で失敗しないためのポイントを知りたいですか?
特に頬がパンパンにならないかが心配ですよね?
頬のたるみ・ゴルゴ線へのヒアルロン酸は、適切な量であれば、頬をリフトアップすることができますが、あるレベルを超えて入れすぎたり、あるいはそれほど入れすぎていなくても、皮膚の弾力が低下した方だと、逆にたるみが起こったり、不自然に見えたりすることがあるので注意が必要です。
その他、最も注意すべきヒアルロン酸注入の危険性・リスクとして、失明があります。
ここでは、頬へのヒアルロン酸注入の注意点・失敗の避け方などについて解説いたします。
参考になれば幸いです。
ここでは、次のような疑問にお答えいたします。
目次
頬のヒアルロン酸は、どのような症状に効果がある?
頬のヒアルロン酸により改善可能な症状は以下の通りです。
頬のたるみ
頬が下がって、たるんだ状態を改善し、リフトアップさせます。
頬のくぼみ・ゴルゴ線
頬の中央のハの字の線はゴルゴ線と呼ばれます。
こちらが浅い場合はくぼみとなります。
これらをしっかり改善するためには、ピンポイントで注入したりします。
頬のこけ
頬のこけには、頬中央と頬外側の皮膚たるみや皮下脂肪のやせが原因です。
ヒアルロン酸注入によりボリュームを出すことで、改善可能です。
頬のヒアルロン酸で顔がパンパンに見えるのはどのような場合?
頬のヒアルロン酸で顔がパンパンに見えるのはなぜでしょうか?
たいていの場合、不自然に見える理由は、ヒアルロン酸の量と皮膚の弾力のバランスが崩れているためです。
皮膚のハリ・弾力のバランスを見ながら、入れすぎないことが重要
ヒアルロン酸には重みがあります。
それを皮膚が支えきれなくなると、重心が下がります。
皮膚の弾力を超えた場合に不自然に見えてしまいます。
頬にヒアルロン酸を入れすぎるとどうなる?
頬にある程度のヒアルロン酸を入れて、満足できないと、追加をしていきます。
弾力がある場合と弾力が低下している場合とで、以下のように結果が分かれます。
まず、理想の頬の状態は、頬の上の方に重心がある、凸のカーブを描いています。
一方、皮膚のたるみがある状態では、重心が下がっています。
皮膚の弾力が低下している場合には、ヒアルロン酸を支えきれないくらいの量を入れると、重みで下がってしまいます。
それを防ぐためには、重心のバランスを見ながら入れる必要があります。
自然なリフトアップを得るためには、深く注入する必要があるが、ある程度の注入量が必要になる
ヒアルロン酸を浅く入れると、皮膚の重みがかかりやすくなります。
骨の近くまで深く入れることで、その影響を回避できます。
ただし、かなりの量を入れないと、見た目に反映されません。
少量入れても、ほとんど変化が感じられないことになりかねませんので、注意が必要です。
ヒアルロン酸自体には皮膚のハリ改善効果がないのが主な原因
ヒアルロン酸は、皮膚自体を改善する効果はほとんどありません。
論文などの報告では、浅く打つことで、コラーゲンを増やす効果があるとされていますが、実際には、皮膚のハリがそれほど増えるわけではありません。
グロースファクターやPRPであれば、皮膚のハリを出すことができます。
骨格的に横幅が張っている方は、ヒアルロン酸は不向き
頬骨外側の突出が目立つ方は、ヒアルロン酸により頬をリフトアップさせると、顔が大きく見えることで不満足な結果になることが多いため、注意が必要です。
その他、エラの筋肉が多い方も同様です。
ヒアルロン酸でゴルゴ線を改善できない場合とは?
ゴルゴ線治療にはヒアルロン酸は向いていないことがあります。
その理由としては、ゴルゴ線は頬のじん帯が関係しています。
ゴルゴ線は、皮膚と深部をつなぐじん帯が強い方で起こりやすいです。
じん帯が強い方は、その下にヒアルロン酸を入れるのは難しいことがあり、その場合は、いくらヒアルロン酸を入れてもその上下が膨らむだけになってしまいます。
ゴルゴ線の上のふくらみは、コメカミからのたるみによるものです。
ゴルゴ線の下にあるふくらみは、ゴルゴ線の下の皮膚が落ちるために生じます。
そのふくらみの下には、ほうれい線があります。
頬のヒアルロン酸で注意すべき点とは?
前述のように、顔がパンパンにならないようにすること以外に、頬のヒアルロン酸で注意すべき点とは何でしょうか?
一つは、失明のリスクを避けることです。
「ヒアルロン酸で失明が起こることがあるのですか?」
はい。
意外と知られていないのですが、低いながらも、失明が起こったという報告があります。(ヒアルロン酸による失明の詳細はこちら>>)
目の下には、血管が豊富にあります。
それらの血管は、網膜を栄養する血管とつながっており、距離的にも近いです。
失明のリスクを避ける方法
ヒアルロン酸注入で失明を避けるには以下が有効です。(参考文献>>)
- ゆっくり注入する
- 25G以上のカニューラを使用すること(ただし完全に防げるわけではなく、27Gdだと血管を刺すこともある)
- 注入量を最小限にする
- 注入時に針を移動させる
- 注入の追加は0.1ml 以内にする
- 小さいシリンジ(注射器)を使用する
- エピネフリン入りのフィラーを使用する
- 太い血管を圧迫してつぶしながら注入する
頬のヒアルロンを入れた後の経過は?
ヒアルロン酸はどれくらいでなくなる?
ヒアルロン酸を入れた後は、徐々になくなっていきます。
なくなるまでの期間は、ヒアルロン酸製剤の種類にもより、基本的には、ヒアルロン酸の架橋(ヒアルロン酸分子を化学的に結び付けて強固にする処理)がしっかりしている製剤ほど長持ちする傾向にあります。
例えば、ジュビダームビスタ ボリューマXCだと2年くらいです。
なお、頬の骨近くに入れた場合、長期維持されると言われています。
注入後にヒアルロン酸が、骨や硬い組織に置き換わるためです。(形成外科 56(増刊): S111-S117, 2013.)
しかし、この場合はヒアルロニダーゼで溶かすことができないので、注意が必要です。
ヒアルロン酸の効果がなくなる時期は?
ヒアルロン酸が完全になくなるまでの期間と効果がなくなる時期にには、多少ずれがある場合があります。
例えば、1年持つ製剤でも、3か月後くらいには減り始めるため、「もうなくなった」と感じることもあります。
注入後翌日に腫れることもある
翌日は一時的に腫れることもありますが、通常1週間以内に自然に落ち着きます。
頬のヒアルロン酸注入で起こり得る失敗
頬のヒアルロン酸注入において、まれに以下のようなことが起こり得ます。
ただし、万が一の場合は、ヒアルロン酸溶解注射で溶かすことができます。
事前にどのような仕上がりになるかのイメージを相談していただくことが重要です。
注入部位の凹凸
こちらは、硬いヒアルロン酸製剤を浅く注入した場合に起こり得ます。
通常は起こり得ません。
注入位置のずれ
後述のように、注入部位は、頬のくぼみに打てばよいというものでもありません。
神経や血管を避けて打つ必要があります。
頬のくぼみのメインは、瞳孔(眼球中央)の真下です。
しかし、瞳孔中央の下には、太い神経があり、そこは避けて打つ必要があります。
また、針の長さなどのも計算して注入するため、ヒアルロン酸が入った箇所と針を刺した場所は必ずしも一致しないこともあります。
左右非対称
人間の顔は骨格も含めて完全に左右対称ということはありません。
また、頬の厚みに違いがあることもあり、それを完全にヒアルロン酸のみで矯正するのは不可能なこともあります。
極端な左右非対称があれば問題ですが、あとは技術的な限界もあり得ます。
内出血がひどく出る
ヒアルロン酸注入は針による施術であるため、内出血を完全にゼロにすることは難しいです。
極力止血を丁寧に行いますが、血が止まりにくいなどの体質がある方は、ひどく内出血がひどく出ることもあり得ます。
また、血豆のようにたまり、長引くこともあり得ます。
しかし、必ず引きますので、内出血が一旦起こった場合は待っていただくしかありません。
頬のヒアルロン酸の注入量はどれくらい?
頬のくぼみやゴルゴラインの深さにより個人差があります。
ご参考までに、ジュビダームシリーズの販売元であるアラガン社の推奨する注入方法は以下の通りです。
頬には、1か所につき0.1~の量を必要に応じて注入します。
頬中央であれば、片側最大1.0mlくらいです。
頬内側は血管が豊富であるため、失明や皮膚壊死を避けるために、注射しない方がよいです。
浅いところの注入方法
上記の図のうち、「皮下組織」に打つ際は、ファンニング法といって、針を刺した状態から広く打つ方法で注入します。
コメカミに打つ理由は?
上記の図でコメカミのところに丸が付いています。
こちらは、コメカミから頬に流れてくるたるみを解消するために、コメカミのリフトアップ、ボリューム解消を目的としています。
ヒアルロン酸の料金は?
当院では、小分けでヒアルロン酸注入を行っていません。
感染防止のために1本使い切りのみになります。
血管塞栓を防ぐために、血管内に指していないか逆流を確認する時に陰圧をかけることがあります。
その場合、どうしても血液が逆流して注射器の中が血液にさらされてしまうためです。(血管塞栓の予防法の詳細>>)
頬のヒアルロン酸のダウンタイムは?
ダウンタイムについては、内出血がどれくらい起こるかによります。
通常の範囲内の内出血であれば、1週間から10日くらいでなくなります。
ただし、体質的に血が出やすい方や止まりにくい方は、長引くこともあります。
1週間は飲酒・運動などを控えていただき、安静に過ごして下さい。
また、腫れはあまり目立たないことが多いですが、内出血がひどく出た場合、血豆のようにふくらみが起こることがあります。
肉芽腫やしこりのリスクは?
赤み、腫れ、しこり、注入部位の周りのむくみといった症状が数日経ってから起こります。
感染と区別が付きづらいことがあります。
異物肉芽腫・異物反応は数万件に1件の非常にまれな副作用で、1か月以降に起こります。
治療法は、困難で、年単位で赤みや腫れが再発することもあります。
よろしければ診断ツールをご利用ください
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