あなたはヒアルロン酸注入で失敗しないための方法を知りたいと思っていますか?
やるからには、絶対に成功したいですよね。
さて、ヒアルロン酸注入は、気軽にできる簡単な治療なのでしょうか?
もし私が身内や友人にアドバイスをするなら、「よほどの急ぎの理由がなければ、ヒアルロン酸注入はやらない方がいい」と言います。
なぜなら、ヒアルロン酸注入では、あまり知られていない、まれながら失明・皮膚壊死・肉芽腫といった重い副作用が起こる可能性がゼロではないからです。
これらは、腕の良し悪しとは関係なく起こる部分もあります。
特に、失明に至っては、一度起こった場合は、対処が困難なことが世界中の例を見てもほとんどです。
さらに、ヒアルロン酸は、繰り返し入れることが必要なので、いつ何があってもおかしくはありません。
また、大急ぎの理由がなければ、他の治療法もあります。
ヒアルロン酸は即効性があるのが魅力的ですが、落とし穴も全くないわけではないことは、ご存知になられていてもよいかもしれません。
なお、ヒアルロン酸注入で成功すること、つまりきれいな仕上がりになるには、それなりの技術が必要です。
実は、その前に、きれいに仕上げるためには、手術前の準備で9割が決まります。
逆に言うと、そこをクリアすれば、ヒアルロン酸注入で成功するのはそれほど難しいことではありません。
こちらを読んでいただくことで、あなたのヒアルロン酸注入による失敗を回避でき、成功の確率が1%でも上がればうれしい限りです。
ここでは、次のような疑問にお答えいたします。
目次
目の下のヒアルロン酸で失敗を避けるには?
目の下のヒアルロン酸の適応外の場合は、注入を避ける
以下の場合は、ヒアルロン酸はあまり向いていないので、避けた方が無難と言えます。
目の下のくぼみの範囲が広い場合
くぼみの範囲が、目の下だけではなく、頬まで広がっている場合は、治療範囲が広いため、特に動かした時に凹凸が出るリスクが高くなります。
例えば、次の方は、他院様にて脱脂後にヒアルロン酸注入を受けられ、凹凸が気になり、結局溶かされたという方です。
このように頬のくぼみも見られる場合は、注意が必要です。
目の下のくぼみが深い場合
目の下のくぼみが深いと場合、ある程度の量が必要になります。
ヒアルロン酸は、入れすぎると、青白く不自然に見えることがあります。
次の方は、他院様でヒアルロン酸を目の下に入れられたという方です。
右側の写真では、目の下が青白く見えています。
目の下のたるみ・ふくらみ(黒クマ)がひどい場合
目の下のたるみがひどい場合というのは、ふくらみの度合いが、以下の中等度~重度以上の場合です。
例えば、以下の方々は重度に相当します。
このようなケースでは、経結膜脱脂法を行った方がよいと考えます。
ヒアルロン酸注入のみでは不自然な仕上がりになることが多いです。
目の下の青クマ・赤クマがひどい場合
青クマに対してヒアルロン酸注入を行った場合、薄い皮膚にヒアルロン酸が透けて、青白く見えることがあります。
その他、赤クマも同様です。
脱脂+ヒアルロン酸で不十分な仕上がりになる場合とは?
脱脂が不十分であった場は、目の下のくぼみにヒアルロン酸を入れても不十分な仕上がりになることがあります。
翌日の腫れに注意する
注入を受けた翌日には、少し腫れが出ることがあります。
これは、注射の刺激による腫れと、ヒアルロン酸自体が水分を吸収するという性質があるためです。
通常は数日腫れた印象があったとしても、1週間後には落ち着くことがほとんどです。
浅く入れすぎると凹凸が目立ちやすくなるので注意する
目の下は、皮膚が薄いため、浅く入れすぎると、笑った時などに凹凸が出やすくなるので、注意が必要です。
失明に注意する
目の下には、血管が多く走っています。
目の下の血管内に誤ってヒアルロン酸が入ることで失明が起こるリスクがあります。
注入時に以下のことなどに気を付けて注入する必要があります。
- ゆっくり注入する
- 25G以上のカニューラを使用する
- 注入量を最小限にする
頬のヒアルロン酸の失敗を避けるには?
頬のヒアルロン酸で顔がパンパンに見えるの方がいますが、それはなぜ起こるのでしょうか?
たいていの場合、皮膚の弾力の限界を超えた量のヒアルロン酸が入ってることが原因です。
皮膚のハリ・弾力のバランスを見ながら、入れすぎないことが重要
ヒアルロン酸の重量を支えきれなくなると、下に落ちてしまい、重心がずれ、不自然に見えてしまいます。
頬のカーブのバランスを見ながら、慎重に入れることが重要です。
理想の頬の状態は、頬の上の方に重心がある、凸のカーブを描いています。
一方、皮膚のたるみがある状態では、重心が下がっています。
このように皮膚の弾力が低下している場合、骨の近くまで深く入れることで、ヒアルロン酸の重みによる重心のずれを回避できますが、かなりの量を入れないと、変化に乏しいこともあり得るので注意が必要です。
ヒアルロン酸自体には皮膚のハリ改善効果がないことに注意
ヒアルロン酸では皮膚自体が改善することはありません。
グロースファクターやPRPは皮膚のハリを出すことが可能です。
皮膚のハリがない方が、「もっとたるみを治したい・・・」との一心で追加し続けると、薄皮を引き延ばすようにふくらむだけではなく、前述のように重みで形が崩れて、不自然になってしまいます。
ヒアルロン酸によるゴルゴ線治療で失敗を避けるには?
ゴルゴ線の原因となる頬のじん帯(皮膚と深部をつなぐ線維)が強め方は、ヒアルロン酸で改善することは難しいことがあります。
注入してもその上下にヒアルロン酸が逃げて、凹凸が逆に悪化してしまいかねません。
その場合は、皮膚のハリを出す方法(グロースファクター、PRPなど)やじん帯を切離する方法があります。
注入部位の凹凸を避けるため、深く注入する
硬いヒアルロン酸製剤を浅く注入した場合に凹凸が起こり得ます。
ジュビダームシリーズの販売元であるアラガン社の推奨する注入方法は以下の通りです。
下の図の骨膜上の注入部位には骨付近まで深く入れる必要があります。
神経や血管に気をつける
頬には神経や血管が豊富です。
避けて打つ必要があります。
特に頬中央には、眼窩下神経という太い神経がありるので、注意が必要です。
ほうれい線のヒアルロン酸注入で失敗しないためには?
ヒアルロン酸では笑った時のシワは変わらないことに注意
笑った時のシワも改善するのであれば、皮膚自体のハリを出さないといけません。
つまり、皮膚の主成分であるコラーゲンを増やす必要があります。
しかし、ヒアルロン酸注入では、前述のように皮膚自体はハリが出るわけではありません。
そのため、動かすとどうしてもシワが寄ってしまいます。
皮膚のコラーゲンが減っている方は、笑った時にヒアルロン酸が浮き出ることもあり得ます。
笑った時のシワは、グロースファクターやPRPなどであれば、改善可能です。
眉間のヒアルロン酸注入で失敗しないためには?
以下の注意点があります。
眉間は特に失明・皮膚壊死のリスクが高いことに注意
ヒアルロン酸注入による失明の約1/3は眉間の注入で起こっているという事実があります。
ヒアルロン酸がジェル状であるために、血管内に入り、網膜への血流が途絶えるために失明が起こります。
脂肪注入やレディエッセでも失明や皮膚壊死は起こり得ます。
液体の注入ではそのようなことは起こりません。
そのため、ボトックスやグロースファクター、PRPであれば、失明や皮膚壊死のリスクはありません。
手の甲のヒアルロン酸で失敗しないためには?
起こり得る副作用・リスクを理解する
手の甲のヒアルロン酸の副作用では、内出血や腫れなどの一時的な副作用・リスクがあります。
また、手が動かしづらくなる・指が曲げづらくなるという症状が6.8%の割合で見られたという報告があります。
これはヒアルロン酸が吸収されるにつれて回復しますが、なくなるのに年単位かかることもあるので、注意が必要です。
鼻のヒアルロン酸注入で失敗を避けるには?
特に鼻先は皮膚壊死が起こりやすいことに注意
鼻先は、皮膚が厚く、軟骨と密着しています。
そのため、ヒアルロン酸注入により血管が圧迫されやすくなっています。
特に何回もヒアルロン酸注射を受けられたり、鼻のの手術・怪我の既往がある場合は、皮膚壊死のリスクが高まります。
涙袋のヒアルロン酸注入で失敗を避けるには?
入れすぎると不自然になるので注意
涙袋は、通常、肌色から薄いピンク色をしています。
涙袋の皮膚は薄いため、ある程度の量を入れると、青白く、ソーセージのように張りつめた不自然な印象に見えることがあるので注意が必要です。
皮膚が伸ばされることで、涙袋の皮膚が老化することに注意
涙袋にヒアルロン酸を入れると、皮膚が引き伸ばされます。
皮膚は圧力がかかれば、伸びる性質があります。
これがある程度の期間であれば、元に戻りますが、伸びた状態が長期間続くと、皮膚が伸びきってしまいます。
涙袋に入れたヒアルロン酸が垂れることがあることに注意
目の下の皮膚の下は、隙間が多い構造になっています。
そのため、型崩れして下に垂れることがあります。
次の方は、他院様にて涙袋にヒアルロン酸を2回(最終は3か月前)入れられた方です。
当院来院時・・・涙袋のヒアルロン酸が下に流れている印象です。
ヒアルロン酸を溶かした状態・・・本来の状態が出てきました。
詳細な経過>>
知らないと損!ヒアルロン酸で涙袋を作ることの5つのデメリット≫
失明や皮膚壊死を避けるには?
正しいヒアルロン酸注入方法で治療する
血管の塞栓を防ぐための方法は、以下の通りです。
- 小さい注射器・太めの先端が丸い針(カニューラ)を使用して、最小限の量を針を移動させながらゆっくり注入する
- エピネフリン入りの麻酔で血管を収縮させる
- 太い血管を指で圧迫して、つぶしながら注入する
ほうれい線治療の針はどのようなものがよいか?
先の尖った通常の針は、内出血が起こりやすく、また細い針は特に血管閉塞による皮膚壊死や失明の原因となります。
一方、カニューラは、先端が丸いため、そのようなリスクは低いと言えます。
ただし、カニューラでも細い物は血管を刺すことがあるので、注意が必要です。
ヒアルロン酸注入によるリスクが高い場所を避ける
注入部位によって失明が起こる確率は異なります。
ただし、リスクが低い場所でも失明の可能性が全くないわけではありません。(参考文献>>)
リスクが低い部位
アゴ、マリオネットライン、頬外側、頬下部、耳の前
リスクが中等度の部位
唇、口周り、頬前面
リスクが高い部位
コメカミ、ほうれい線、目の下、目の周り、頬の内側、鼻の外側
リスクが非常に高い部位
眉間、額
安いヒアルロン酸は何が問題になる?
基本的には、安いヒアルロン酸製剤でも適切に注入すれば、仕上がりで劣ることはありません。
では、何が問題になるのでしょうか?
実は、安いヒアルロン酸は、製造過程で不純物が混入している割合が多いことが考えられます。
ヒアルロン酸注入後、まれに赤みや肉芽腫(皮膚が赤くもり上がる)といった難治性のアレルギー症状が起こることがあり、アレルギーの発生率は、不純物が低い製品では下がります。
比較的安全といわれるアラガン社のジュビダームの添付文書ですら、「小結節、数珠状小隆起、肉芽種、アレルギー反応/過敏症など」といったリスクが添付文書に記載されています。
それを考えると、できるだけ良質なヒアルロン酸製剤を選ばれることが安全だと言えますす。
肉芽腫やしこりの副作用・リスクについて
赤み、腫れ、しこり、注入部位の周りのむくみといった症状が数日経ってから起こります。
感染と区別が付きづらいことがあります。
異物肉芽腫・異物反応は数万件に1件の非常にまれな副作用で、1か月以降に起こります。
治療法は、困難で、年単位で赤みや腫れが再発することもあります。
内出血がひどくなるのを避けるには?
ヒアルロン酸注入後、止血を丁寧うことが重要です。
しかし、体質によっては、内出血がひどくなる方がいらっしゃいます。
通常は、1週間くらいで引くものが、血豆のようにたまると、長引くこともあり得ます。
ゆっくり帰っていただくことと、特に数日は体が温まらないよう、また力を入れないように気をつけていただくことが重要です。
よろしければ診断ツールをご利用ください
質問に答えていくタイプのツールです。
あなたの目の下のたるみ・クマやお顔のシワ・たるみの種類や状態、さらに適切な治療法が分かります。
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