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ヒアルロニダーゼについて【選び方と危険性・リスク・副作用】

 執筆者: 加治佐 卓也
医学博士・形成外科専門医

ヒアルロニダーゼ(ヒアルロン酸溶解注射)でヒアルロン酸注入注入で失敗した箇所の修正をご検討中ですか?

ここでは、ヒアルロニダーゼの選び方や危険性・リスク・副作用について解説いたします。

ぜひ参考にしてみて下さい。

ヒアルロニダーゼ(ヒアルロン酸溶解注射)とは?

ヒアルロン酸注入で失敗した時などに溶かすための酵素の注射薬です。

英語でのつづりは、「hyaluronidase」です。

どのように効果を発揮する?

簡単に言うと、ヒアルロニダーゼは、ヒアルロン酸の構造をバラバラにする効果があります。

詳しくは、N‐アセチルグルコサミンの構成部分であるC1 とグルクロン酸の構成成分であるC4 との間のグルコサミニド結合を分解することによってヒアルロン酸を加水分解します。

副作用は?

副作用が心配ですよね?

ここあでは、副作用・リスクについて解説いたします。

アレルギー

局所的なアレルギー反応(赤み、かゆみなど)の発生率は0.05%から0.69%の範囲とされています。

また、時間がかなり経ってからアレルギー症状が起こることもあります。

最も注意すべき副作用はアナフィラキシーショック

ヒアルロニダーゼ(ヒアルロン酸溶解注射)で最も注意すべき副作用に、アナフィラキシーショックという重篤なアレルギー症状の一種があります。

ちなみに、アナフィラキシーショックとは、血圧低下、呼吸困難、意識がなくなるなどの症状があり、場合により呼吸停止・心停止などの重篤な症状も起こり得る危険な症状です。

アナフィラキシーショックが起こりやすいヒアルロニダーゼの種類は?

ヒアルロニダーゼには、羊由来のものとヒト由来のものがあります。

羊由来のものは比較的安価ですが、アレルギーやアナフィラキシーショックという副作用が起こりやすいとされています。
したがって、アレルギーの可能性が低いヒト由来の方が安全です。

もし可能なら料金的には高くなりますが、ヒト由来の製剤(HYLENEXヒレネックスなど)を希望された方がよいと言えます。

HYLENEXヒレネックスについて

遺伝子組換え型ヒトヒアルロニダーゼを精製した製剤です。
したがって、血液製剤ではありません。

まれな副作用

ヒアルロニダーゼには抗原性があるため、比較的多量のヒアルロニダーゼ製剤を反復投与すると、中和抗体が形成される可能性があります。
つまり、あまり量を多く、繰り返し投与しすぎると、だんだん効かなくなってくる可能性があるということです。

 

投与量の実際

各患部を治療するには、10〜20単位で十分とされています。

治療ごとに200単位を超えるヒアルロニダーゼの注射は避けるべきです。

また、局所麻酔薬でヒアルロニダーゼを希釈する必要はありません。

注射は皮膚に対して垂直に行う必要があります。

1回では溶け切らないこともある

ボリューマ、ボリフト、ボルベラなど、比較的架橋がしっかりとしたヒアルロン酸製剤は、1回では溶け切らないこともあると言われています。

ヒアルロン酸製剤の種類について≫ 

治療は3週間ごとに行うのが目安です。

高密度のヒアルロン酸製剤にはより短い間隔で行うこともあります。

再注入の適否については、外側からは視覚的に判断するのは難しいことも多いです。

 

溶かした後の経過・効果の期間は?

注入直後にすぐにヒアルロン酸は溶けるので、ボリュームダウンはすぐに得られます。

例えば、目の下の脱脂後のへこみに対して、凹凸や青白い状態が気になり、ヒアルロニダーゼを注入したとします。
すると、すぐにへこみが現れます。

一度溶けたものは元には戻りません。

 

ダウンタイムは?

内出血次第になります。

通常は1週間前後で引きますが、血が出やすい方や止まりにくい方は長引くこともあります。

その他、比較的直後は、注射の水分や針の刺激から生じるわずかな炎症による腫れ(少しぶよぶよした感じ)もあります。

 

注射は痛いですか?

ヒアルロニダーゼは液体なので、ジェル状であるヒアルロン酸よりもさらに細い針で注入できます。

また、麻酔クリームを用いたり、冷やしたりすることで、痛みはかなり軽減できることが可能です。

 

元々体にあるヒアルロン酸はなくならないのか?

元々人体にあるヒアルロン酸は代謝が非常に速いため、ヒアルロニダーゼによる影響は無視できますので、ご安心下さい。

 

以前他院様でヒアルロン酸注入を受けられ、当院での治療をご希望の方へ

あいにくのところ、当院ではヒアルロニダーゼは取り扱っておりません。

以前他院様でヒアルロン酸注入を受けられ、当院で同部位に治療をご希望の場合、一度事前に他院様でヒアルロニダーゼで溶かしていただく必要があります。

なお、ヒアルロン酸が残っているか分かりづらい場合であっても、できれば溶かせるだけ溶かしていただく必要があります。
その場合、断られることもありますが、「ダメもとでお願いします」と何とかお願いすれば溶かしてもらえたりします。

もし当院での治療をご希望でしたら、大変お手数ですが、「ヒアルロン酸溶解注射後1週間後以降」にお問い合わせよりお写真をお送りいただければ幸いです。(もし内出血が出た場合は、完全に引いてからお写真をお撮り下さい。)

 

ヒアルロン酸溶解注射の経過写真

ブログ等で写真を報告されている個人の方も多いですが、当院では、ヒアルロニダーゼを他院様で依頼された方で、以下のような事例があります。

目の下のヒアルロン酸注入後のヒアルロニダーゼ

5年以上前に他院様でヒアルロン酸を目の下の入れられた方です。

何年も前に入れたヒアルロン酸でもダマになって残ることがあるため、ヒアルロン酸溶解注射で溶かしてきていただきました。

1 
溶解前

 

 
2
溶解後・・・本来の目の下のクマが出てきています。

こちらの方がどのようになったか気になりますか?
詳細は、以下をご覧下さい。

40代女性 ヒアルロン酸溶解後の目の下のクマ治療+頬のたるみ治療+メラフェード 1年後の経過

 

 

涙袋へのヒアルロン酸注入後のヒアルロニダーゼ

他院様にて涙袋にヒアルロン酸を2回入れられた方です。

1

当院初診時・・・涙袋に入れたヒアルロン酸は、下に流れている印象です。

脱脂+グロースファクターを希望されていたため、手術までにヒアルロン酸を溶かしてきていただきました。

 

 
2

溶解後・・・ヒアルロン酸がなくなり、本来の目の下のクマが出てきました。

目の下には、影クマ赤クマが見られます。

この状態で脱脂+グロースファクターを受けていただけます。

こちらの方のその後はどうなったか・・・・?!
詳細は以下をご覧下さい。

その後の詳細な経過>>

 

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参考文献

Aesthet Surg J. 2013 Nov 1;33(8):1167-74.

 

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