眼輪筋のエクササイズ・ストレッチ・トレーニングを黒クマに対して試してみた方はいらっしゃいますか?
効果は果たしてあるのか、気になりますよね。
目の周りの筋肉である眼輪筋は、まぶたを閉じる役割があります。
それと同時に、ちなみに、目の下にたるみ(目袋・黒クマ)がある方は、目を細めると、一瞬良くなったように見えるのではないでしょうか?
それは、眼輪筋は、「目の下の脂肪」の表面にあり、目を細めることで、ふくらみが押し戻されるからです。
また、目を細めると、涙袋がキュッと盛り上がり、場合によっては、目の下の脂肪(眼窩脂肪)に埋もれていた涙袋が一瞬復活したりすると思います。
このことから、「眼輪筋を鍛えれば、黒クマ・目袋を解消でき、涙袋もきれいになるのでは?」という希望的観測がわいてきます。
さて、実際は、どうなのでしょうか?
この記事では、眼輪筋トレーニングの方法や効果やビフォーアフターなどについて詳しく見ていきます。
眼輪筋トレーニングによる黒クマや目の下のたるみ対策は効果があるか?
108人の日本人女性の顔のたるみについて調べた論文では、顔の筋肉の機能が低下している人ほど、顔のたるみがあるという結果もあり、顔の運動自体に一概にデメリットがあるとも言い切れない可能性もあります。
医学論文で紹介されている目の下のたるみ・黒クマの表情筋トレーニング
結論から言いますと、9つの顔の筋トレを調べた論文(眼輪筋トレーニング含む)では、顔の筋トレについては否定的な見解を出しています。
ただし、アイソメトリック運動(収縮と同時に外から伸展負荷をかける=筋肉は一見動かない)を表情筋に対して行えば、リンパの流れを改善するという考えもあるようです。
しかし、反論もあり、やりすぎなどや誤った方法によりかえって顔の筋トレによりシワができたり、触りすぎることでたるみが悪化するという否定的な意見もあります。
ある海外の論文では、下まぶたの眼輪筋上に指を置き筋肉を固定して負荷をかけながら、目を閉じるトレーニングが載っています。
なお、こちらの論文の方法は商品化されており、そのWebサイトの症例写真を見ても、少なくとも目の下のたるみや黒クマは明らかな改善はしていません。
なお、この方法では、皮膚への刺激により肝斑や茶クマが悪化する可能性もゼロではありません。
眼科医が教える眼輪筋トレーニングとは?
国内の眼科医院のHPにて眼輪筋トレーニングによるドライアイの改善方法が掲載されています。
これは、目の周り(上外側、上側、下側、外側)を軽く外側に引っ張って、眼輪筋の進展負荷をかけながら、目を閉じる動作をリズミカルに数回(1回につき30~40秒)を1日1回以上行うというものです。
この方法は上記の海外の文献の方法とほぼ同じです。
ただし、同サイトにこのトレーニングにより眼輪筋の血流の流れが良くなることで下まぶたのクマが改善するという記載がありましたが、症例写真は掲載されていませんでした。
上記の眼輪筋トレーニングをまとめた方法
眼輪筋は、目の周りに全方向にあります。
そこで、以下の2つの指の当て方により負荷をかけ、目をつぶるという方法が考えられます。
横方向の眼輪筋の収縮
縦方向の眼輪筋の収縮
ともに軽く眼輪筋に負荷をかけて、収縮させると、鍛えることができます。
目袋やクマが長期的に治るかどうかのエビデンス(科学的な証拠)は乏しいですが、ドライアイ改善などは少なくとも期待できると考えます。
また、眼輪筋自体を鍛えすぎることによるデメリットは特にないと考えますが、皮膚の伸ばし過ぎや摩擦にはお気を付けください。(皮膚のたるみやシミ・くすみのリスク)
ネット上にある眼輪筋トレーニングの検証
ネットに書かれてある眼輪筋を鍛える方法は、目の下のクマ・目袋・涙袋に良い効果があるのでしょうか?
目を細めると、眼輪筋という目の周りの筋肉の収縮により、目の下のたるみや黒クマは、一瞬改善したように見えます。
筋肉は負荷を繰り返しかければ鍛えることができるので、ほどよい収縮を常に得ることができれば、理論上、目の下のたるみや黒クマを改善できる可能性があります。
眼輪筋を鍛えるためには、目をつぶるような動きで収縮による負荷を与える必要があります。
それ以外の筋肉(眼球を動かす筋肉)では、その効果は得られません。
また、顔の筋肉を動かすあまり、シワが寄ってしまうと、逆にシワが深くなってしまう可能性があります。
今回、「筋トレ 黒クマ」でgoogle検索を行い、上位50位に書かれていた方法を調べ、それぞれの有効性とリスク・注意点について考察してみました。
目線を上にしたまままばたき
眼輪筋に負荷がかかりません
目を軽く閉じる
こちらも眼輪筋に負荷がかかりません
目を強く閉じてキープ
目尻のシワが悪化するリスクがあります。
目をパッと見開く
目を開くのは眼輪筋とは違う筋肉になります。
目線だけ天井を見る
上を見るのは、眼球を動かす筋肉になります。
両目を開けた状態で「8」の字を描くように視線を動かしぐるぐると目を回す
こちらも眼球を動かす筋肉に作用します。
薄目になった状態でキープ
こちらは眼輪筋のトレーニングとしては有効です。
目を強く閉じ、口もすぼめて、顔の中央に寄るように力を入れる
シワ悪化のリスクがあります。
眉を上げて最大限目を大きく見開く
目を開ける動作は、眼輪筋には効きません。
また、額にシワが寄る点に注意が必要です。
ゆっくりと自然な状態に戻す
眼輪筋の下まぶたのパーツには拮抗筋がないため、ゆっくりと戻すのはあまり効果がありません。
まぶしい表情を作りキープ
目を細める分にはいいですが、眉間にシワが寄りがちなので、注意がいります。
口を「お」の形にして鼻の下を伸ばし、視線を上げて目の下を伸ばす
眼輪筋のストレッチの効果は不明です。
また、この方法は額にシワが寄るので、注意が必要です。
パチパチまばたき
まばたきは誰でも常に行っているので、あえてトレーニングに取り入れることは不要であると考えます。
ウィンクを繰り返す
こちらも上記と同様ですが、強くウインクをすると、目尻のシワが深くなるリスクがあります。
人さし指で目尻を軽く外側に引っ張り、そのまま目をぎゅっと閉じる
こちらは、前述の海外の文献のアイソメトリック運動の類似の方法ですが、肝斑悪化に注意して行う分には問題ないと考えます。
ネット上で見られる眼輪筋を鍛える方法のビフォーアフターを検証
以下でgoogle画像検索したところ、1例(涙袋の盛り上がり改善例)を除いて、これといった眼輪筋トレーニングのビフォーアフターの写真は出てきませんでした。
- 「眼輪筋 鍛える」
- 「眼輪筋トレーニング」
- 「エクササイズ 黒クマ ビフォーアフター」
- 「ストレッチ 黒クマ ビフォーアフター」
- 「筋トレ 黒クマ ビフォーアフター」
眼輪筋トレーニングの結果をビフォーアフターで確認できるくらいに出すのが難しい理由
なぜ容易にできるはずの眼輪筋トレーニングでビフォーアフターの写真が表に出てこないのでしょうか?
一つ考えられるのは、そもそも改善が大変か、あるいはごく短時間の改善は得られたとしても、その効果を持続させるのはかなり大変なことが考えられます。
実際に当院に治療に来られる方の中には、眼輪筋トレーニングを試みられている方もいらっしゃいます。
しかし、効果に乏しかったりなどで治療を受けられたりしています。
顔の表情筋は、緊張を持続させるのは、特に無意識下では難しいです。
例えば、口周りには、眼輪筋と同様の筋肉で口輪筋という筋肉があります。
こちらを軽く収縮させると「アヒル口」になります。
一時的にアヒル口はできても、無意識下で軽いアヒル口をずっと維持するのはかなり難しいです。
ビフォーアフターを正しく評価するためには
ネットの眼輪筋トレーニングのビフォーアフター画像の中には、前後で条件がかなり異なるものもあったりします。
その場合は、条件が違うだけでも見え方が変わってくるので注意が必要です。
ちなみに、論文などで医学的に検証する場合は、①同じ部屋・同じカメラを使用する(重要)、②毎回メイクがない状態で撮影する、③無表情で撮影する(特に重要)、④主観が入らないようにするため、第3者がパーツのみで比較するといったことをします。
よくネット上で見られる改善例のビフォーアフターは、上記のうち明るさや表情が全然違ったりします。
眼輪筋トレーニングで涙袋を出せるかを検証した結果
眼輪筋トレーニングによる涙袋改善例の画像検索の結果は?
前述の通り、google画像検索で1例だけ涙袋の盛り上がり改善例がありました。
念のため、google画像検索で「眼輪筋トレーニング 涙袋」で検索したところ、やはり上記以外に改善している例はありませんでした。
眼輪筋を収縮させると涙袋が出せるのは一瞬だけ
眼輪筋を収縮させると、目袋(目の下のふくらみ)が引き締まります。
これは、お腹の筋肉に力を入れると、お腹がへこむのと同じ原理です。
目を細めるように涙袋の辺りの筋肉に力を入れると、涙袋が一瞬出てきます。
しかし、お腹とは違って、眼輪筋は薄い筋肉です。
また、お腹には何層もの筋肉があるのに対して、目の下は眼輪筋のみになります。
眼輪筋は、輪状筋といって、目の周りに円を描くような状態にあります。
顔の中の輪状筋には、口輪筋が口周りにあります。
口輪筋を鍛えるトレーニング(口をすぼめるなど)をどんなに行っても「アヒル口」を維持し続けることはできません。
逆に、しゃべりすぎたりして口の筋肉を使い過ぎたとしても、気づいたら口元が「アヒル口」になっていたなどということはありません。
したがって、目元をどんなに鍛えても、涙袋がぷっくりした状態を維持させるのは難しいと考えられます。
眼輪筋トレーニングを行っている人は多くいると思いますが、画像検索でもほとんど結果が皆無に等しいのも、眼輪筋トレーニングにより涙袋を出せたとしても、一時的にしか出せないことを反映している可能性が高いです。
よろしければ診断ツールをご利用ください
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