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レチノインクリームの選び方・使い方・使用例・注意点について

トレチノインクリーム
 執筆者: 加治佐 卓也
医学博士・形成外科専門医

トレチノインは、ビタミンAの一種で、シミや小ジワ、ニキビに効果のある医薬品として知られています。

ひとことでトレチノインといっても、トレチノイン単独の製品や美白剤のハイドロキノンを配合してある製品など、様々なものがあります。

日本では、トレチノインは医師に処方してもらう必要がありますが、リスクを承知の上で個人輸入品を購入することもできます。

また、シミの改善や美肌目的など、皮膚の症状によってトレチノインクリームの使い方が異なります。

また、トレチノイン製剤も様々です。
ここでは、皮膚科で処方される一般的な「トレチノインクリーム」の使い方について解説いたします。

今回は、トレチノインクリームの選び方と使い方についてわかりやすく解説いたします。

トレチノインクリームの効果

トレチノインは、ニキビ、小ジワ、シミ、くすみなどの症状に効きます。

また、トレチノインによって皮膚の潤いや弾力を取り戻すこともできます。

なぜかというと、トレチノインを使うことによって表皮の代謝アップ、コラーゲンの増加、血流の改善を期待できるからです。

特に代謝改善により、メラニンを外に出すことでシミ改善につながります。

トレチノインの効果の詳細≫

トレチノインクリームとトレチノインジェルの違い

ひとことでトレチノインといっても、様々な種類があります。

例えば、トレチノイン単独のものや、美白効果のあるハイドロキノンがすでに配合されているものです。

また、トレチノインにはクリーム状のものやジェル状のものがあります。

トレチノインクリームとトレチノインジェルの違いは、トレチノインの粉末を溶かしているもの(基材)の違いです。

トレチノインは脂溶性ビタミンなので、油に溶けるという特徴があります。

そのため、油脂が含まれるオイルやクリームによく溶けますが、皮膚には浸透しにくいです。

一方で、オイルやクリームは皮膚に浸透しづらい分、副作用が出にくいというメリットがあります。

皮膚科などのクリニック処方以外のトレチノインクリームの入手方法

トレチノイン製品には様々なものがありますが、現時点で日本ではトレチノインの市販薬はありません。

トレチノインを入手するためには、クリニックで医師に処方してもらうか、個人輸入による海外の製品を購入するしかありません。

医師にトレチノインの処方をしてもらった方が、悩んでいる皮膚の症状に対してトレチノインを使用することが適切か判断してもらえますし、副作用が出た場合にもすぐに相談することができるので安心です。

一方で、個人輸入による海外の製品は、自己責任で使用することになります。

厚生労働省は、海外の製品は日本人向けではないことも多く、成分がきちんとしていない可能性もあるので使用に関しては注意勧告しています。

また、不衛生な場所や方法で製造された可能性もあるため、体への悪影響が起きるリスクがあります。

トレチノインクリームの選び方

では、実際にどのようなトレチノインクリームを選べばよいのでしょうか。

クリニックで処方されるトレチノインクリームには、トレチノインクリーム単独のものや、美白剤であるハイドロキノンが配合されているものがあります。

例えば、トレチノインクリーム単独の製品としては、東大式トレチノインがよく知られています。

東大式トレチノインは、含まれているトレチノインの濃度が濃いため、効果の出方が早いものの、副作用も出やすいといわれています。

ハイドロキノンが配合されているトレチノイン製剤ではメラフェードがよく知られており、効果の出かたは穏やかで、副作用が出づらいといわれています。

リスクを承知の上で、個人輸入による海外のトレチノイン製剤を使用する場合には、レチンAクリームとよばれている製品があります。

レチンAクリームには、様々な濃度のものがありますが、初めて使う場合には0.025%の低濃度のものから始めると安全と言えます。

このように、トレチノインクリームには様々な種類がありますが、自分の皮膚の悩みに適した製品を選ぶためにも、医師の診察を受けた方が安心です。

トレチノインクリームの基本的な使い方

ここでは、皮膚科で処方される一般的なトレチノインクリームの使い方について解説いたします。

トレチノインクリームは、シミや小ジワ、ニキビなどに効果がありますが、同時に副作用も起きることがあります。

初めてトレチノインクリームを使う時には、副作用が出ないかどうか髪の生え際などの顔の目立たない所に少し塗ってみるとよいです。

強く副作用が出ないことを確認できたら、顔全体に塗ってみましょう。

まず、薄めの濃度で少量から使い始め、慣れてきたら濃度を上げていきます。

副作用の目安として、トレチノインクリームを塗ってから1分以内に皮膚がぽろぽろと剥けてくるようなら、量を減らした方がよいです。

シミをとりたい場合には、トレチノインクリームに美白剤であるハイドロキノンを併用すると高い効果を期待できます。

シミ、小ジワ、ニキビに対するトレチノインクリームの使い方

トレチノインクリームは、目的によって使い方が異なります。

例えば、シミの場合にはトレチノインをベビー綿棒などを使って、シミからはみ出さないように塗ります。

シミを改善したい時には、トレチノインを塗った後に、ハイドロキノンを広めに塗るとよいです。

小ジワやニキビに対しては、症状のある部分を中心に広げるように塗り、皮膚になじませます。

トレチノインの使い方詳細≫

市販のハイドロキノンとトレチノインクリームの併用による使用例

使用した製品

以下の個人輸入のハイドロキノンとトレチノインクリームを使用した例です。

トレチノインとハイドロキノンクリーム

治療経過

4日後に赤み・皮むけが出てきました。

トレチノインクリームの副作用による赤みと皮むけ

 

トレチノインクリームを使う時の注意点

ここでは、一般的なトレチノインクリームの使い方について補足します。

トレチノインクリームの副作用を知っておく

トレチノインクリームは、シミや小ジワなどに対て効果を期待できる塗り薬ですが、副作用が起こることもあります。

  • 副作用として、は以下のようなものがあります。
  • 皮膚の炎症が起きる(レチノイド反応)炎症による色素沈着
  • 日焼けしやすくなる(かえって黒くなる)

トレチノインの副作用の詳細≫

副作用(皮膚の黒ずみ)の例

市販のトレチノインクリームにより皮膚が黒ずんできた方の例です。
日頃、紫外線を浴びる機会が多かったとのことです。


使用前/3か月後


使用前/3か月後

 

ある程度の赤みなどの副作用であれば受け入れる

トレチノインクリームを使用した時に、皮膚の赤みや痛み、皮むけなどの副作用が起きることがあります。

あまりに強い赤みや痛みの場合には、使用を中止するか、濃度を薄くする必要があります。

しかし、ある程度の副作用であれば、効果が出ている証拠なので受け入れてもよいかもしれません。

皮膚の赤みの出かたを見て、医師と相談しながらトレチノインの濃度を調整すると安心です。

妊娠中または妊娠の可能性がある時は使用を控える

皮膚に塗ったトレチノインによって、血液中のトレチノインの濃度が上がるということはないですが、念のため妊娠中または妊娠の可能性がある時には使用を控えましょう。

まとめ

トレチノインクリームは、シミや小ジワ、ニキビなどに効果を期待できる塗り薬です。

一言でトレチノインと言っても、様々な製品や濃度のものがあります。

悩んでいる皮膚の症状に合わせて適切なトレチノイン製剤を選ぶことが大切です。

個人輸入のトレチノイン製品もありますが、品質の保証もなく、副作用が起きるリスクもあります。
そのため、医師の診察を受けてからトレチノインを使用した方が安心です。 

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