トレチノインはどのような効果があるか知りたいですか?
トレチノインは、ビタミンAの一種です。
塗り薬として使用するとシミや小ジワ、ニキビ、毛穴などに対する美肌効果があります。
また、紫外線効果も期待できます。
トレチノインは医薬品としても認められています。
自己判断で使用するとトレチノインが効かない症状の場合もあるので注意が必要です。
今回は、シミや小ジワ、ニキビなどに対するトレチノインの効果を画像を使ってわかりやすく解説いたします。
トレチノインに美肌効果がある理由は?
トレチノインは、美白効果のあるハイドロキノンと併用されることの多い医薬品で、正しく使用すれば多くの美肌効果を期待できます。
では、なぜトレチノインが肌をきれいにするのでしょうか。
「ターンオーバー」の改善により皮膚の細胞が入れ替わる
トレチノインが肌をきれいにする理由を理解するためには、皮膚がどのように生まれ変わるのかを知る必要があります。
皮膚は、たくさんの細胞が重なり合ってできています。
皮膚は大きく分けると2つの層で成り立ってくなりくなり
表面の部分は表皮、表皮より下の部分は真皮とよばれています。
皮膚の細胞は、定期的に古いものから新しいものに入れ替わっており、古いものは垢(あか)となってはがれ落ちます。
このように、皮膚の細胞が定期的に入れ替わることをターンオーバーといいます。
皮膚のターンオーバー異常でシミや小ジワ、ハリの低下が起こる
ターンオーバーは、年齢や紫外線などの影響で異常が起こることがわかっています。
ターンオーバーに異常が起きると、シミや小ジワ、ハリの低下などの原因になります。
トレチノインには、ターンオーバーを高める作用があり、通常は約4週間かかるものを2週間程度にするといわれています。
ターンオーバーが高くなると、皮膚の修復力も高くなります。
特にシミ用のクリームを塗る際に、代謝が高まっていた方がメラニンが外に出ていきやすくなるため、治りやすくなります。
トレチノインによりターンオーバーが回復する
ターンオーバーが高くなると、皮膚の修復力も高くなります。
また、トレチノインは肌のキメを左右する表皮突起に対する作用も期待できます。
表皮突起は、下の図にあるような表皮と真皮の接着面のことですが、キメがある状態では波打っています。
トレチノインにより皮膚のキメが整い、小ジワが改善
しかし、紫外線で皮膚がダメージを受けると表皮突起がつぶれ、皮膚のキメが低下します。
トレチノインを塗ると、つぶれた表皮突起が再び波打つようになり、皮膚のキメが整い、小ジワができづらくなると考えられています。
また、トレチノインは皮膚のハリに関わるコラーゲンの産生やヒアルロン酸の分泌を促進します。
皮膚の防御効果もある
他には、紫外線から皮膚を守ったり、皮膚の血流を改善する効果をトレチノインに期待できます。
トレチノインとハイドロキノンを併用すると効果が高くなる理由
シミを改善する治療薬として、ハイドロキノンという名前を聞いたことのある人も多いかもしれません。
ハイドロキノンは、トレチノインと併用して使用されることの多い治療薬です。
ハイドロキノンは、シミの原因になるメラニンの生成を抑えるので美白効果があります。ハイドロキノン単独でも美白効果はありますが、トレチノインと併用すると皮膚のターンオーバーを高めながら美白できるので効率がよくなるといわれています。
つまり、トレチノインを併用すると、シミのある古い皮膚を捨てるスピードが速くなるので、ハイドロキノン単独で治療するよりも短い時間で効果が出ます。
トレチノインのシミ、小ジワ、ニキビ、毛穴に対する効果
トレチノインは、シミ・くすみや小ジワ、ニキビ、毛穴のつまりなどに対する効果があるといわれています。
また、やけどによる皮膚のつっぱりや皮膚のハリの低下を改善することもあります。
皮膚の悩みで多い、シミ、小ジワ、ニキビ、毛穴に対する効果を治療前後の写真を使って解説します。
シミに対する効果
トレチノインとハイドロキノンを併用し、7か月経過した頃の写真です。
治療前に比べると、治療後には頬のシミとくすみが取れているのがわかります。
トレチノインが、シミの原因になるメラニンを減らし、皮膚の血流も良くするからです。
小ジワに対する効果
トレチノインとハイドロキノン(メラフェード)を併用し、4か月経過した頃の写真です。
治療前に比べると、治療後には目じりの小ジワが目立たなくなっているのがわかります。トレチノインが、皮膚のターンオーバーを高め、コラーゲンの産生を促進するからです。写真からもわかるように、治療開始後には皮膚のうるおいが増し、ふっくらとした印象になっています。
ニキビに対する効果
トレチノインで治療をすると、ニキビの原因となる皮脂の分泌が減るので、写真のようにニキビが改善します。
毛穴に対する効果
トレチノインとハイドロキノン(メラフェード)を併用し、4か月経過した頃の写真です。
治療前に比べると、治療後には毛穴が目立たなくなっているのがわかります。
治療によって、毛穴のつまりや毛穴の黒ずみが改善したからです。
シミの種類別のトレチノインの効果
ひとことでシミといっても、医学的にはさまざまな種類があります。
なかには、シミだと思っていたら他の病気(皮膚癌など)の場合もあるので注意が必要です。
トレチノインはシミに効果があることがわかっています。
しかし、自己判断で使用していると効果がないばかりか副作用が起きる可能性もあります。
トレチノインを使用する時には、まず医師の診察を受け、治療効果を期待できるシミかどうか確認した方が安心です。
日光によるシミ
シミの中でも最も多いものが、日光によるシミです。
日光によるシミは、医学的に老人性色素斑ともよばれます。
日光によるシミの場合には、トレチノインとハイドロキノンの併用による治療効果を期待できます。
皮膚が盛り上がったシミ
皮膚が盛り上がったシミは、医学的に脂漏性角化症といいます。
残念ながら、皮膚が盛り上がったシミにはトレチノインの効果を期待できません。
まず、レーザーや盛り上がった皮膚を削り取る治療を行う必要があります。
レーザーや削り取る治療を行った後に、炎症による色素沈着が起こった場合には、トレチノインを使用するときれいになります。
後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)
後天性真皮メラノサイトーシスという名前は、聞きなれない人の方が多いかもしれません。
後天性真皮メラノサイトーシスは、英語ではAcquired Dermal Melanocytosisとよばれ、頭文字を取って略称でADMといわれることもあります。
後天性真皮メラノサイトーシスでは、表皮と真皮の両方にメラニンが存在しており、トレチノイン単独による治療では効果がないといわれています。
まず、トレチノインで表皮にあるメラニンを減らし、レーザー治療を行うと皮膚の深い部分にレーザーが届きやすくなり、治療効果を期待できると考えられています。
肝斑(かんぱん)
肝斑は、下の写真で示しているように左右対称で、頬骨の辺りに出ることの多いシミの1種です。
女性ホルモンの乱れや紫外線などが、肝斑の原因となることがわかっています。
肝斑に対しては、トレチノインの有効性が高いといわれています。
そばかす
そばかすは、下の写真のように頬や目の周りにできる小さい褐色の斑点のことです。
紫外線によって増えるといわれています。
そばかすは再発しやすいですが、顔であればトレチノインによる効果を期待できます。
参考:トレチノインとは
トレチノインは、ビタミンAの一種です。
ビタミンAは、卵黄やレバー、うなぎ、ニンジン、ほうれん草などに多く含まれる栄養素です。
食物に含まれるビタミンAは、体の中でレチナールという物質になった後、レチノイン酸になります。
レチノイン酸の中でトランス型とよばれるものを薬剤として合成したものがトレチノインで、シミやニキビ、毛穴などの改善効果を期待できます。
まとめ
トレチノインは医学的にも有効性が認められており、シミや小ジワ、ニキビ、毛穴などに効果を期待できます。
トレチノインには、皮膚のターンオーバーを高める作用だけでなく、皮膚のハリに関わるコラーゲンの産生を促進したり、皮膚の血液の流れを良くする働きもあります。
今回は、写真を使いながら皮膚の悩みで多く聞かれるシミや小ジワ、ニキビなどに対するトレチノインの効果をまとめました。
トレチノインは正しく使用すれば効果の高い治療薬ですが、自己判断で使うと効果がないだけでなく、副作用が出ることもあるので注意が必要です。
医師の診断を受け、トレチノインが有効と考えられる症状に対して使用した方が安心です。
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